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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-58

第17話 『疑惑の王様』


 コンコン
と城内のとある一室の扉がノックされる。

「いいぞ、入れ」
 その声を合図に、扉が重々しく開いて、まだ年若い兵士が部屋の中に入ってきた。
「失礼します」
 兵士は、開けた扉を閉めて、部屋の奥でテーブルを間に挟んで座っているアリラリラン王子とジョーカルの方を向くと、深々と一礼する。
「何事だ?」
「はい、只今、ディグ・フレイア様、ルーシー・フレイア様が城に戻られました」
「……ようやく帰ってきましたか……サイファ・フーズィは一緒ではないのか?」
「はい。お二人だけのようです」
「ふむ、足手まといになって、どこかで置いてきましたかな? 何しろあの洞窟の牢に閉じ込めてから十六年も経っておるからな……ご苦労、ディグ様とルーシー様のところに戻って、王との謁見の準備を整えるよう伝えよ」
「はっ」
 兵士は、王子とジョーカルに向かって大きく頭を下げると、体を後方に向き直し、今度は扉の外へとつかつかと歩いていった。扉の開閉する音が静かな室内に響き渡る。

 再び二人だけになった室内で、王子がジョーカルに上半身を乗り出して話しかける。
「……サイファって誰だったっけ? 聞き覚えがある名前なんだけど……」
 そう言いながら、王子が少し大げさに首をかしげる。
「サイファというのは、王子の要望で、向こうの世界へと追い出したディグとルーシーに性別を逆転させる術法をかけさせた男ですよ」
 ジョーカルの説明に、王子がやっと思い出したというように、大きくうなずく。
「あぁ、そうだそうだ。向こうの世界で生まれて、向こうの世界でしか術法を使えないとかいう、あいつ、そういえばそういう名前だったな」
「思い出しましたか? メグミ様だけでよろしいのに、王子がディグやルーシーにもかけてやれ、と言うから、あの二人にもついでに術法をかけさせた、あの男です」
「はははっ、だって面白いじゃないか。英雄などと呼ばれていい気になってたディグのやつが、妻子共々、性転換させられて異世界にいるなんてさ。もう全国民に聞かせて廻りたいぐらい笑える話だろう?」
 王子が心底楽しそうに笑う横で、ジョーカルがやれやれというように肩をすくめる。
「……王子、古代術法は現代には存在しないことになってるのですよ」
「わかってるよ。だから誰にも言っちゃいないよ。すごく面白い話なんだけどな」
「あの二人に術法をかけても仕方のない話ですのに……メグミ様だけにかけるつもりで、滅びたはずのあの術法を知る者を捜し出したというのに」
「まぁまぁ、そう言うなよ。結果的にカムフラージュの役目を果たしたって言ってたじゃないか」
「まぁ、そうですが。メグミ様だけに術をかけてたら、嫌がらせ以外の意味があることを彼らに感づかれたかもしれませんからね」
「ほら、よかったんだろ?」
 王子が得意そうに胸を張る。
「あくまで結果的にですよ……まぁ、この話は後にして、マイルホーク将軍やシープに命じて、彼らを出迎える準備をしないと」
「……シープ……」
 シープの名前が出た途端、王子が憤りの表情を見せる。それを見たジョーカルは、おや? と思い、王子に伺いをたてる。


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