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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-27

「ところで、王子とめぐみクンの両親の間で、確執があったという噂を聞きましたが……」
 言葉の途切れためぐみに代わって葵が質問する。それはめぐみの性格では直接本人には聞けないであろうという内容のものだった。
「……まだそのような噂が流れているのですか……私と彼らの関係を誤解しているものが多くて困ります。ナクティフ軍を壊滅に導く大きな原動力になってくれた彼らは、私にとって命の恩人といえる存在なのです。その彼らと私の間で確執などあろうはずがありません」
「……そうですか。失礼なことを聞いてすいません」
 王子が話す内容の割には軽さを感じる口調で否定する。
 葵はどう判断してよいか迷ったものの、さすがにこれ以上の踏み込んだ話はできずにいた。

「メグミさん達は、こちらにはどれぐらいの間おられる予定で?」
 一人物思いに沈んでいためぐみは、王子の質問に少し慌てながら答える。
「その……お父さんとお母さんが戻ってきたら、すぐに帰ろうかと思っています。明日も学校があるので、早く帰らないと」
 そう言いながらめぐみが腕時計を見ると、時計の針は六時を大きくまわっていた。窓の外へと目を向けると、少し暗くなってきている。どうやら、日本とアリーランドはほぼ同じに時間が経過しているようである。
「メグミさんの御両親は、いつごろこちらに戻られるかわかりませんよ」
「……そうですか……あまり遅いようならボクたちだけで先に帰るつもりです」
「……それは残念ですね……私としてはあなたがたにもっと長くこちらにいてほしいのですが……」
「でしたら、明日また呼んでいただけ……」
 めぐみの言葉を王子が大きな声をあげてさえぎる。
「そうだ! 身代わりを用意しましょう」
「は? 身代わり?」
「そうです。我が国の優秀な者達にあなたがたのふりをして学校へ行ってきてもらいましょう」
「い、いや、そんなことしなくても、明日学校が終わってからまた……」
「シープ。バーグ兄弟を呼んできてください」
 王子が扉の横で控えていたシープに指図すると、シープは王子に一礼して素早く扉の外へと出ていった。
「ちょ、ちょっと! 別に身代わりなんて……」
「心配無用です。彼らなら間違いありません」
「そういうことじゃなくて……」
「お待たせしました」
 葵は強引な王子の提案に抗議しようとするが、シープがあっという間に部屋の中へと戻ってきてしまう。

「王子。バーグ兄弟を呼んでまいりました」
「おお、相変わらず早すぎるくらいに早いな。さすがだ」
「はっ、王子の御命令ですから」
 そう言って部屋の中に入ってきた男達に、めぐみと葵は目を丸くする。
 王子の命令でやってきたのは2メートルを越える身長の大男だった。大男は三人いて、みんなそっくりないかつい顔と筋肉質な体格をしている。しかも服装までまったく同じときては、彼らを一人一人見分けるすべなどなさそうである。
「……うわぁ……」
「この人達が……あたし達の代わり……をするの?」
「ええ。彼らならきっとうまくやってくれるでしょう」

 めぐみと葵は本当にこんな大男達が自分達の代わりをできるものなのか少し興味が湧いてきていた。なんといっても魔法使いが普通に存在している世界の人達だ。ともに身長160センチ以下のめぐみと葵の見代わりなどどう見ても勤まりそうもないが、それを可能にするなにかがあるに違いない。
 そんな好奇心がめぐみと葵にある決断を促した。
「……じゃあ……頼んじゃおう、かな?」
 葵がめぐみの方をうかがう。
「……うん……そうしてもらおうかな……」
 二人の言葉に王子とジョセフが嬉しそうに微笑む。
「それでは、メグミ様、アオイ様、テッタ様それぞれの代役として、この者達をメグミ様達の家に派遣します」
 そう言うと、今度はジョセフが部屋の中に一礼して、バーグ三兄弟とともに部屋を出ていった。

「……そういえば、哲ちゃんは?」
 めぐみは哲太がこの場に来ていないことに、その時やっと気づいた。 ……………


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