投稿小説が全て無料で読める書けるPiPi's World

アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最初へ アッチでコッチでどっちのめぐみクン 10 アッチでコッチでどっちのめぐみクン 12 アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最後へ

アッチでコッチでどっちのめぐみクン-11

「じゃ、じゃあ、ボクがあんまり男らしくないのって、お父さんと、お母さんのせいなの!?」
「……結論から言えばそういうことになります」
「な、なんで? なんでそんなこと!?」
「……知りたいですか? 私についてきてくださればわかりますよ」
「恵クン、ダメよ!」
 葵が二人の話に割って入る。
「このお爺さん、どう考えても怪しすぎるわ。口車に乗せられちゃダメ!」
「口車とはひどいですね」
「そうじゃない! 恵クンをどこかに連れていくために適当なこと言ってるんじゃないの!?」
「……メグミ様をある所にお呼びしたいのは事実ですが、それを誘拐のように思われるのは困りますね……」
 葵の言葉に、老人はしばし考えてから話を続ける。
「……では、私の言葉が真実かどうか、一つ判断材料となるものを提供いたしましょう」
「……判断材料?」
「そうです。私の言葉が偽りではないとわかっていただけると思いますよ」
「……なんだよ、それは」
 哲太の口調にも警戒感が現れている。
「では、お話しましょう。メグミ様のご両親、今日はどうしておられますか?」
「え? ……たぶん二人とも仕事に行って……」
「……それは違います。メグミ様のご両親は今日はお仕事をお休みになっておられます」
「!?」
「今、お二人は我が祖国・アリーランドに来ておられるのですよ」
「何言ってるのよ! 外国になんか恵クンに内緒で行くわけないじゃない!」
 いきりたつ葵の反論に老人はゆっくりと首を横に振る。
「行こうと思えばいつだって行けるし、帰ろうと思えばすぐにでも帰れるからですよ……すぐに帰るつもりだからこそ、メグミ様に内緒で行かれたのです」
「……アリーランドなんて国、聞いたことないですけど、日本からそんなに近いんですか?」
「近いとか遠いとかいうことではありませんが、すぐに行ける国なのは確かです。そしてそこはメグミ様の御両親が生まれ育った国でもあるのです」
 その言葉に恵の頭の中が真っ白になる。
「え?」
「……な、なによそれ? 恵クンの両親は外国の人だっていうの?」
「さようです。お二方とも我がアリーランド王国の民であられるのですよ。つまり今日は里帰りをされているということになります」
「ボクもその、アリーランドという国で生まれたの?」
「……いえ。メグミ様は、こちらの世界でお生まれになられた方です」
「……こちらの世界って……変な言い方ね」
「……先ほども申し上げたとおり、アリーランドはこことは違う世界に存在する国なのですよ」
「ばかばかしい! 恵クン、行こう!」
 葵がきれる寸前の怒鳴り声で恵を促す。
「う、うん。ごめんね、え〜と……ジョセフさん」
 恵もさすがについていけないといった感じで早々に立ち去ろうとしていた。
 老人はその様子を見て大げさに肩をすくめてみせる。
「……そうですか。仕方ありません。私一人で一旦アリーランドへ戻ります……この通路を使って……」
 そう言いながら老人が右腕を勢いよく振り上げると、彼の背後の風景がぐにゃりと歪み、円形の透明な穴のようなものが現れた。

「な、なにあれ!?」
 三人は目を大きく見開いてその異様な空間を見つめる。
「それではひとまずお別れです……メグミ様、御自宅に帰られましたら御両親の勤務先に御両親が出勤されたかどうか確認されるのがよいと思いますよ。私の話が事実かどうかはその後で判断されて結構です。では後ほどまた」

 そう言いながら透明な穴に足を踏み入れたジョセフの姿が忽然と消えてしまう。
 取り残された三人は呆然とジョセフの消えた透明な穴を見つめていたが、数秒後にはそれも消えてなくなった。


 第3話 おわり


アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最初へ アッチでコッチでどっちのめぐみクン 10 アッチでコッチでどっちのめぐみクン 12 アッチでコッチでどっちのめぐみクンの最後へ

名前変換フォーム

変換前の名前変換後の名前