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アッチでコッチでどっちのめぐみクン
【ファンタジー 官能小説】

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アッチでコッチでどっちのめぐみクン-10

「……フジサワ・メグミ様ですね」
 そんな三人の沈黙を破ったのは背筋をピンと伸ばした白髪に白い口髭の老人だった。
 その身にまとった真紅の燕尾服が非常に怪しい。
「だ、誰、あんた?」
 その老人の、あまりの怪しさに、葵は敬語を使うのも忘れて聞き返した。続けて恵が質問する。
「なんでボクの名前を知ってるの? お爺さん、誰?」
「申し遅れました。私はジョセフ・ジョバンニ・ジョーカルという者で、我が祖国・アリーランド王国の王アーリストンに仕えております」
「はあ?」
 三人の目が一斉に点になる。
「……この爺さん、外人か?」
「……なんか怪しい……」
「……そんな国、聞いたことないですけど……」
 三人それぞれが感想を洩らす中、ジョセフと名乗る老人は恵の言葉だけに答える。
「それはそうでしょう。アリーランドはあなたがたの知るこの世界に存在しているわけではありませんから」
 三人は再び沈黙する。
 その沈黙を今度は葵が破った。
「恵クン、行きましょう。関わり合いにならない方がよさそうだわ」
「……で、でも、このお爺さん、ボクのことを知ってるみたいだけど……」
「だったら、今からでも関わらなければいいのよ」
 葵が恵の腕を引っ張ると、恵は葵に続いてその場から逃げるように立ち去る。哲太もあとからついてくる。

「お待ちください」
「……」
「お待ちください。メグミ様」
「しつこいわねぇ。お爺さん、恵クンのなんなのよ」
 後をしつこく追いかけてくる老人を無視しきれなくなった葵が、恵の代わりに尋ねる。
「実のところ私はメグミ様とは今日が初対面なのですが、父親のカオル様と母親のマコト様のことは昔からよく知っているのです」
「お父さん達の知り合いなの?」
「はい。そこでメグミ様に質問があるのですが……」
「え、な、何?」
 急に質問があると言われて緊張する恵に、葵がすり寄ってきて耳打ちする。
「……あんまり馬鹿正直に答えちゃダメよ」
 葵のアドバイスに恵は小さくうなずく。
 そのやり取りに気づいているのかいないのか、老人は委細構わず恵に問いかける。
「メグミ様は疑問に思われたことはございませんか? メグミ様のご両親はなぜ一般的な性別的特徴と正反対の外見と性格をしてらっしゃるのか? また、なぜご両親はメグミ様を女の子のように育てられたのか?」
「え? 女の子のように育てられた?」
「……知りませんでしたか? メグミ様のご両親は意図的にメグミ様を女性的になるように育てられたのですよ」
 その言葉に恵は後頭部を強く殴られたような衝撃を感じていた。


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