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中指
【教師 官能小説】

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中指-1

「アンタはとんでもない愚図だよ」
先生、と圭介は笑み混じりに付け足し、薄暗い寝室のセミダブルベッドの上でこちらに向かって大きく脚を開き、左手で押し広げた先にあるクリ○リスを右手の中指で擦る那美の泣きそうな顔を見つめた。
那美のノンフレームの眼鏡はすこしずれている。レンズの向こうにある色素の薄い瞳にうっすらと涙をうかべ、スーツの上着を着た侭だったがその下の白いブラウスの前は肌蹴て豊かに実った乳房がレースの下着に包まれて上下する。
那美の片脚の先に纏わりついていたストッキングとパンティを、シンデレラの足を扱うようにして引き抜いてやりながら、圭介はまた喉奥で笑い声を押し殺しつつ、何事かを那美の真っ赤になった耳元に息を吹きかけるようにして囁くのだった。那美の肩がぴくんと震え、悔しげに眉が寄せられるけれども決して中指の動きを止めることはなく、反抗的な言葉を投げかけたりもしない。

那美は圭介の通う私立高校の教師だ。地元では進学校として名高く、圭介はどちらかといえば優秀な部類には属さない生徒だった。そんな生徒に対する学校側の対応は見せしめのつもりか、あからさまなものがあった。那美も、例外ではない。
生徒指導室に呼ばれた圭介が、那美の手首を掴んでその綺麗にルージュの引かれた唇を無理やりに奪ったのは、ほんの気紛れだった。手の甲で唇を拭きながら那美が圭介の顔を睨んできたとき、圭介はいまの関係に至ることを確信した。その瞳に快楽の色を垣間見た。だから、圭介は性交渉の度に那美に囁く。己が那美に言われてきた台詞を。
「ほら、早くしろよ。…つまんねえ女」
すみません、とは言わない。ただ歯を食い縛り、恨めしげな表情を装って圭介の言葉に従うのみである。
中指が不定期に、溢れる蜜を掬い取り、撫でつける。那美の胸元に先程圭介がつけたばかりの鮮やかな紅い痕跡がちらちらと見えた。圭介はダークブラウンのブレザーを脱ぎ捨て、ぬるくなったペットボトルのコーラをあおり、ガチャガチャとベルトを外した。その金属音に、那美は一度目の絶頂をむかえる。

「先生、オレのこと好き?」
那美の愛用しているサムライ・ウーマンの香りが圭介の鼻腔をくすぐると、得体の知れない涙が視界をぼかす。滲む汗に前髪を額に貼り付けてのぼせたような表情で薄闇を見つめる那美を一瞥もしないで、圭介はルイ・ヴィトンのバッグからセーラムを一本、拝借する。
「愛しているから、はやく挿れなさい。……それと、煙草はやめなさい」
背中に那美の言葉がぶつかってきた。二つの命令が少しも変わらない響きで下される。圭介は瞳を満たした涙が引いていくのを感じた。煙を燻らせて、肩を竦めて、戯れめく。
「挿れてほしいから、煙草消してほしいんだ?」
「違うわ。どちらも、君を愛しているから言っているのよ」
と、圭介は那美に言われるのを想像したけれどもそれは単なる妄想に終わった。
「…ぁ、あっ、……はぁ…んっ…」
次に聞いた那美の声は言葉にならぬ嬌声だった。圭介が再び目を遣ったときには、彼女は皺くちゃの白いシーツに胎児のような姿勢で寝転がって、中指をしとどに濡れてひくついている秘所に突き立てて密やかに息を乱していたのだった。さっきまでと違って、目を閉じて自慰に耽る那美が他の誰かの男根を想定しているように思えてならない。圭介は半分も吸わないまま、煙草を灰皿に押し当てた。桃色のルージュが付いた吸殻がたまっていた。
「……先生」
呼びかけた圭介は、どんな顔をしていたのだろうか。那美は指を抜き差ししながら、薄く形のよい唇の端を意地悪く持ち上げて言う。
「君になんか期待してない」

色欲の衝動にいまにも駆られそうな顔だったのかもしれないし、あるいは泣き出しそうな顔だったのかもしれない。学校指定の臙脂色のネクタイで那美の両手首を縛り上げて、両腕を頭上にあげさせる。
眼鏡を取り上げると、那美が抵抗したので圭介の頬に那美の長い爪が触れてひっかき傷を作った。傷は那美の愛液でてらりと光った。那美のブラジャーを強引に押し上げ、仰向けになっても椀型を保つ張りのある乳房のかたちを歪め、充血して色づいた乳首を爪の先で刺激する。
那美の喉から、切なげな甘い声が搾り出され圭介は気を良くした。
「そんなでも、そう言えるか?」
那美は、答えない。圭介を、睨む。まるで少女のようだ。性的なことをされると思っていなかった相手が不意に豹変してのしかかって来た裏切りに言葉を失った、少女のようだ。苛立たしい。苛立たしさを覚えてしまう己にも苛立つ。

圭介は、わかっているのだ。
「先生に、愛して欲しいんだ」


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