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今は。そしてこれからもずっと・・・
【ファンタジー 官能小説】

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今は。そしてこれからもずっと・・・-4

放課後。

家路に着こうと学校の校門を出た僕は唐突に足を止めた。
…屋上に誰かいる…?あれは…蒲乃菜ちゃんだ…
何をしているんだろうと思った。
そしたら僕の足は再び校舎の中に向かっていたんだ。
別に僕はストーカーって言うわけじゃない。
…ただ、純粋に彼女があんなところで何をしているのか気になっただけなんだ。
生徒もまばらな校舎の中を屋上へと向かって進んでいって。
そして、屋上のドアを開けようとしたその時。
扉の向こう側から声が聞こえたんだ。

「………あの、手紙は…読んでくれたかな…?」
少し照れた男の声。
「…はい。」
続いて蒲乃菜ちゃんの声。
「それで…返事は…」
どうやらこの男は、蒲乃菜ちゃんに手紙を出して告白したらしかった。
…昨日は僕が告白したのに今日は他の男か。蒲乃菜ちゃんも大変だな。
などと思って、僕は踵を返して元来た道を引き返し始めた。
そんな僕に信じられない声が聞こえてきたんだ。

「………はい。あの…私も、実は前から…」
「……!?」
僕に聞こえてきたのは恥ずかしながらも幸せそうに答える蒲乃菜ちゃんの声。
僕は正直耳を疑った。
信じられない。
あの奥手の蒲乃菜ちゃんが交際を了承するなんて。
いや。別におかしい事はない、蒲乃菜ちゃんも年頃の女の子だ。
恋の一つや二つするだろうから。でも…
そんな混乱する僕の頭にさらに声がきこえて来た。

「嬉しいよ!いや〜昨日ね。蒲乃菜ちゃんが誰か他の男に告白されていたから 焦ったんだよ。
もうだめかな〜って思ってたのに。う〜ん嬉しい!」
他の男とは言うまでもなく僕の事なんだろうな。
そう思いながら聞き耳を立てつづける。
この場にいれば傷つくだけだとわかっているのに。
「…み、見てたんですか…?」
「うん。でもあれだろ?もちろんその男は振ったんだろ?男の俺から見ても昨日の奴は
 なんか危ないって言うか根クラ野郎だったからな。」
「……はい。私も、少し恐かったんですよ。」
想いが通じあった嬉しさからか今日の蒲乃菜ちゃんは軽口だったみたいだ。
それとも、僕という存在なんて彼女にとってはそんな物だったのか。
「走って助けに行ってあげたらよかったな。この王子様が。ははは…」
「くすくす…そうですね…私を、魔物から守ってくれる王子様。」
などと軽口を叩き合うふたり。
そんな初々しいふたりをよそに、屋上のドアにもたれかかりながら、俯く僕。
「そうか…僕だけがピエロだったんだな。」
ずっとずっと彼女の事が好きで、勇気を振り絞って告白した俺は。
好きだの嫌いだのの恋愛ゲームで振られて悲しんでいた俺も。
すべては俺の惨めな一人よがりだったのか。
ずっと想いを寄せていた女の子と、どこの誰とも知らない男に無様に笑われてそれに気付いた。
こんな状況でも僕の頭はまったく混乱していなかった。
一時は混乱していたが、それを通り越して逆に僕は冷静になっていた。
心も、痛すぎる現実から逃げるように何も痛みを感じなかった。
いや、あるいは、あまりの事で痛みを感じる事すら出来なかったのかも知れない。
僕は悲しすぎて笑いを浮かべていた。
「ははは……」
妙に高揚のない平坦な乾いた笑い声。
それは扉の向こうから聞こえてくる幸せそうな笑い声と混じって不協和音を奏でる。
「ははは……」
鋼鉄の冷たいドアにもたれ掛かって笑う僕。
涙は出ない。

昨日に流し尽くしてしまったから。


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