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出会い
【ガールズ 恋愛小説】

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告白前夜-2

『二人ともどうしたの?あたしのことは気にしないで二人で遊んでくればいいよ。』
 沈んだ気持ちのあたしを千鶴の言葉が救った。それなら、千鶴の言うとおり彩夏さんと楽しんでこようと思い直した。
『うん。わかった。ありがとう』
 彩夏さんも千鶴の言葉でさっきまで考えていた何かにまとまりがついたみたい。
 そう言うとやっとお弁当も味わいながら食べることができた。しかしあたしの気持ちを沈めている根本は一行に解決しないで、むしろ放課後に近づくたびあたしの身体も重くなっていくのも感じていた。

 今日は部活に行きたくないな。素直にそう思う。あたしが手芸部に入部してから今まで部活に行きたくないなんてことなかったのに、先週の出来事があたしを押し止めていた。
 それは真人くんからの告白。あたしにプレッシャーを与え続ける。決して彩夏さんとの結ばれないのかという諦め。あたしはそんな事認めたくなかった。
『今日、さぼっちゃおうかな』
 そう呟いてあたしは帰り支度をする。いつも一緒に帰る約束をしている彩夏さんには先に帰るとメールをしておこう。
 部活の友達の美央には明日謝っておこう。あたしの脳裏にあたしが美央にいじられる姿が目に浮かぶ。でも、仕方がないだろうと思った。
 あたしは静かな放課後の廊下を一定の間隔で歩く。靴底と床がこすれる音が響いてやがて廊下のどこかへ擦れて消える。
 あたしの焦燥とした心は時間がたつほどに大きくなるばかりで、どうせ帰っても何もする気が起きないんだろうと思う。
 
 昇降口に下り、下駄箱から靴を取り出す。久々にこんな時間に帰るあたしは違和感を抱えながらも仕方がないなと思う。
 誰かに聞いてもらいたい悩みでもないけれどあたし一人では耐えられそうもないそう感じていた。
『はあ。誰か答えてくれないかしら』
 あたしは深いため息とともにそう呟いた。

『何に答えるの?涼子ちゃん』
 いきなり背にかかる声を聞いてあたしは驚いた。
『っ華帆センパイ!?どうしてここに』
 華帆センパイは彩夏さんの所属しているバスケ部のセンパイ。今は引退しているから、部活はない事は知っていたけれど。
『今日は委員会の仕事があってそれでちょっとね。涼子ちゃんが気になったから来ちゃいました。』
 珍しいといえばいつも一緒の、詩帆センパイ、真帆センパイがいないことだ。雨条センパイ方は三人でいることでも有名だったから。でも、委員会活動は詩帆センパイと真帆センパイはしていなくて、華帆センパイは環境委員会の委員長になっていた。今日は委員会の打ち合せがあったみたいです。
『来ちゃいましたって。センパイ。』
 華帆センパイは三人の中でも一番お茶目なセンパイだということがあたしにもこの半年で分かった。
『あら。大丈夫よ、彩夏から奪うつもりなんてないから、怯えなくても。ってあれ?本当に元気ないわね。どうしたの?悩み事かしら』
 さすがセンパイだな。あたしの考えている事すぐバレちゃう。

『相談に乗っていただけますか?』
 あたしはセンパイならあたしの探している答えを知っていると思い尋ねた。
『もちろんよ』
 センパイは最後までその素敵な笑顔を崩さないままあたしにそう答えた。


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