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伊藤美弥の悩み 〜受難〜
【学園物 官能小説】

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伊藤美弥の悩み 〜受難〜-5

「こいつで、今から物凄く気持ち良い目に遭わせてやるからな」
膣口に、少年の肉棒があてがわれる。
「くひッ……!」
慣れない拡張感に、美弥は声を漏らした。
「嫌、ああぁ……!!」
少年は美弥へ見せ付けるように、ぐりぐりと入口で亀頭を動かす。
それが、命取りになった。
「のけ反れっ!」
どこからか聞こえて来た声に、美弥は反射的に従う。

ごきょっ!!

物凄く痛そうな音と共に、少年が吹っ飛んだ。
「なっ……!?」
もう一人の少年は、状況が理解出来ずに立ち尽くす。
「何やってる!振りほどけ!」
再び反射的に従う美弥。
少し身を屈めて反動をつけ、少年の顎に頭突きを浴びせた。
「ぎゃっ!?」
怯んだ少年は、手を離す。
「上出来っ!」
その一瞬を狙い、助っ人は少年の側頭部に向かって蹴りを叩き込んだ。
「ふぅ」
二人が昏倒したのを確認し、助っ人が息をつく。
――美弥の貞操は、守られた。
「危ない所だと思ったから助けたけど……お楽しみの最中だった?」
その言葉に、美弥は首をぶんぶんと横に振る。
「そう、良かった」
美弥は、助っ人の事をまじまじと見た。
背は美弥と同じくらいだから、さほど高くはない。
さっくりと着こなした制服に、縁なしの眼鏡。
涼風のような爽やかさを持つ、少年。
「高崎君……」
唇から、声が漏れる。
それは美弥のクラスメイト、高崎龍之介(たかさき りゅうのすけ)だった。
――つまり、男。
「だ……駄目っ!近寄らないでっ!」
貞操を助けてくれた男の子を、撒き散らすフェロモンで狂わせる訳には行かない。
咄嗟にそう考えて、美弥は叫ぶ。
「駄目って……伊藤さん、体に傷ついてたらどうするの?保健室、連れてくよ」
高崎龍之介は美弥に近付き、ひょいと抱き上げた。
「きゃっ!?」
少女漫画の定番である『お姫様抱っこ』をされ、美弥は悲鳴を上げる。
同時に、龍之介の鍛え方に驚いた。
龍之介は体重が××キロある美弥を楽々と抱え上げ、ふらつかずに歩き始める。
背中と膝裏へ軽く手を当てられているだけなので、体に力を入れていないのは疑いようがない。
「へ、平気なの……?」
恐る恐る、美弥は尋ねた。
「伊藤さん、軽いけど」
デリカシーのない答え方である。
「そうじゃなくて……私の傍にいて、変な気になったりしない?」
問い掛けてから、美弥は内心で臍を噛んだ。
こんな言い方をしたら、まるで自意識過剰な女のようだ。
「変、ねぇ……まあ、柔らかくていい匂いのする女の子を抱っこしてるんだから、もやもやとけしからん感情が……出て来ないよ、僕は」
いたずらっぽい表情で、龍之介は言う。
「女の子は好きだけれどね」
そう付け足して笑う龍之介に対し、美弥は思わず聞いた。
「フェロモン……効かないの?」
龍之介が、怪訝な顔をする。
「フェロモン?」
信頼――出来るかも、知れない。
気が付くと美弥は、龍之介へ事情を説明していた……。


「ふ……ん」
蜂蜜で甘みをつけた紅茶を飲み干し、龍之介は鼻を鳴らした。
「なるほど……ね」
「難儀な事を背負い込まされたわねえ」
――学校の、保健室。
コーヒーを飲みながら、保健医は言う。
「ええ。これから一ヶ月、どうしようかと思って……」
鎮静効果のあるカモミールティーに息を吹き掛けて冷ましながら、美弥は陰気な口調で言った。
「一ヶ月も学校休む訳には行かないですし……」
「休んじゃ駄目なくらい、出席日数が危ないの?」
保健医の言葉に、美弥は首を横に振る。
「授業は真面目に受けてます。けど、一月分の授業料がもったいないし……」
「授業料と貞操と、普通天秤にかけるか?」
呆れた口調で、龍之介が言った。
「…………う〜ん」
保健医は、首を捻る。
「……龍之介君」
「はい?」
「伊藤さんの事、守りなさい」
美弥と龍之介は、顔を見合わせた。
「あなた格闘技習ってるんだから、強いでしょう?伊藤さんの事、守ってあげればいいじゃない」
「……護身術です」
ぼそりと、龍之介は訂正した。
「ケンカ殺法?」
「違いマス。」
漫才のようなやりとりをする保健医と龍之介の間に挟まれ、美弥は居場所がない。


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