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「ごみすて」
【調教 官能小説】

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「ごみすて」-8

気を失い、人形のように動かない千佳を見て、女が残酷に目を細めた。小さな虫をいたぶりぬいて殺した子供の、満足げな表情だ。
 男は千佳に興味を失ったように、頭を上げさせていた手を簡単に離した。
 十センチほど上げられていた、千佳の頭が路面に落ちる。
 ごん、と鈍い音がして、頬とあごがアスファルトに当たる。
 その衝撃で、千佳の目がうっすらと開く。
 しばらく、何も言えなかった。何も見えなかった。
 千佳の身体に押しこまれた三つのコンドームは、だらしなく開いた脚の間の秘花からも後門からも、あまりに奥まで入っていて、外からは見えなかった。
「へ…はぁ」
 千佳の目から流れる涙と、そして下半身の二つの孔から滲む血は止まらなかった。
「分かったでしょ? この地域のゴミの分別のしかた」
「これに懲りて、ちゃんとしてもらわないとね」
 意識がはっきりするにつれて、千佳の嗚咽は大きくなった。肩が震え、あああ、と声にならない声が響く。無様に歪んだ鼻からも、一筋の流れができた。しかし手は背中で縛られたまま。ただ、千佳は泣いた。
 女は、そんな千佳の前にしゃがんだ。
「いやだわ。汚れちゃった」
 湿った粘液で光る中指を、女は見る。血と、白く濁った精液。そして千佳の排泄物のかけらがその指にまとわりついていた。
「臭いわね。あなたの中って」
 その指を突き出す。顔をそむける気力も、千佳には残っていなかった。
「どんな味がするか、自分で知ってる?」
 男が口を開かせようと、手に力を入れた。千佳は歯を食いしばった。
 意識的にそうしたのではなかった。本能だ。自分を守るための。
 だが男はそれ以上力を入れなかった。代わりに千佳の唇をめくった。
 小さく並んだ真っ白な歯。薄桃色の歯茎は、流れ出したよだれできらきらと光っていた。
 女が汚物にまみれた指を、千佳の歯茎にこすりつけた。どろりとした粘液が、歯に、歯茎に塗りつけられる。
 唇の裏も使い、何度も指を回して、よだれとコンドームに入っていた粘る液体と、うっすらと血の混じった体液、そして茶色く、まだらになった排泄物を、千佳の口の中で混ぜ合わせるように指が動き回る。ごりごりと塗りつけられた。
 ちぃ、ちぃっ、と歯の間から息が漏れる。
 千佳のひきつった顔は、笑っているようにすら見える。
 狂う。そう感じた。おかしくなる。
 千佳の涙が、無理やり開かされた唇の中から流れこむ。何日も放置された生ゴミのような臭いが、千佳の口の中で香った。
「もうやだ…やだ… やだぁ…」
 ぷしゃぁ、という水音を立てて、尿が流れた。
 裸の性器の下から、水流が流れだし、腿を伝う。傷付いた肌に尿の塩が染みる。開かされた脚に何本もの筋ができる。
 丸めて足首で止まっていたパンツに、水流が吸われる。ぴちぴちと飛沫が跳ねる。
「えは…」
 意識は半分以上、飛んでいた。
 夢ならいいのに。でも身体の痛みは、現実だった。
「もうすぐ、収集のトラックが来るわ」
 女が立ち上がった。男は、ゴミ袋を元通りに積み上げていた。
「そしたら、あなたも回収してもらえば?」
 テイッシュで指を拭い、それを千佳の開いたままの裸の脚の間に押しこんだ。ティッシュは千佳の尿を吸い、じわりと揺れた。
 二人が千佳の視界を横切って歩いて行く。
 思い出したように、女が振りかえった。千佳にはなんの興味もない、という顔で。
「ただ、島田さんの中にある避妊具は不燃ゴミです。分別して下さいね」


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