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17才の花嫁
【二次創作 官能小説】

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17才の花嫁(第4章)-2

一階に下りると、部屋から出てきた朋美と鉢合わせになった。

「朋美さん、ごめんなさい。今日は阿部先生の家にいきます。さっき、叔母さんに会いました。この家を出ることを話したの。お世話になりました」

朋美は唖然としたものの、少し間を置いて―

「へぇ〜、智花ちゃんもやるわね。こんないい男性をつかまえるとは大したもんだわ」

冷たい口調で言い放った。
章朗のふるまいによって、朋美とのあいだに溝ができてしまったことは悲しかったが、後戻りはできない。前に進むしか道はないと思った。


「いつから俺が彼氏になったんだ。無茶なことを言うなよ」
祐太はブルーバードのハンドルを握りながら、冗談めかして言った。

「わたしが彼女だったらマズイですか?」

「あのな、俺は教師だぞ。君は、もと教え子。それに俺は30を越えたオッサンだぞ!」

「わたしじゃダメですか?」

「いや、ダメとは思っていない…」

沈黙が流れた。智花は、祐太が言った言葉の意味を考えたが、自分に都合のいい答えしか見つからなかった。

「もうすぐ着くからな。今日は、冷やし中華でも作ってみるか」

「玉子焼きも乗せるでしょう?」

「玉子焼き? ああ、あれは綿糸卵って言うんだよ」

祐太のアパートは、古びた佇まいだったが、2LDKの部屋はきちんと整理されていた。

智花は祐太の手を借りて小荷物を運び入れると、一息ついた。
(今夜からずっと一緒に住むみたい…)
そんな錯覚に捉われるほど、祐太の好意を自然に受け入れている自分がいた。

「今からごはん作るから、テレビでも見ていて」
「はい、お願いします」
そう言ったあと吹き出しそうになった。Yシャツを脱いで、ランニングの上に熊さんの絵柄のエプロンを着けていたからだ。

「笑うなよ。実家からくすねてきたんだ。妹のお古のエプロンですよーだ」

「似合ってますよ」

「熊さんが熊さんのエプロンしてますから〜」

「わたしも手伝いましょうか?」

「気を使わないで〜」

智花は、祐太と共同作業がしたくなった。立ち上がってキッチンへ――。
お湯が沸くあいだに薄焼き玉子を作る。祐太は、テンポよく胡瓜やハムを刻んだ。

15分後、二人の合作である冷やし中華が完成。(こうやって料理作るのって楽しい)

祐太と智花は、ちゃぶ台を前にして向かいあう。扇風機しかない部屋は暑かったが、タオルで汗を拭きながら食べる冷やし中華の味は世界一だと思った。
(このままずっと一緒にいたい…。でも…30才を越えた大人の祐太が自分を受け入れてくれるだろうか…)

「うーん、錦糸卵の味付けバッチリだ。美味いなぁ」

祐太は無邪気に笑って、智花のコップに麦茶を注いだ。

「何を考えてた?」

「えっ?」

「さっき、考え事してたやろ? 今夜のことなら心配しなくていい。俺はサウナにいって泊まるから」

「バカ…先生のバカ…ひとりにしないで…」
智花の瞳は潤んだ。

「何故、泣くんや…。俺が泣かせたんか?」

祐太は智花が首から掛けているタオルの端を摘んだ。

「顔を少し上げて」
やさしい声が胸に響いた。

祐太は、頬にこぼれた涙を拭ってくれた。

「先生……祐太…抱いて…」

智花は、筋肉質の胸に顔を埋めた。

「俺は…お前が好きや」
智花は温かい腕に包みこまれて至福を感じた。
安らぎの園にいるように思えた。

ふいに着信メロディ『ムーンリバー』が部屋に響いた。祐太のケータイだった。

「ちょっとごめん…」
祐太はゆっくりと抱擁を解いた。

「今ごろ誰だろう?」

手提げカバンからケータイを取り出して開いた。智花もなにげなくケータイをのぞきこむ。ディスプレィで山城貴子という文字が光っていた。



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