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手紙〜言えなかったさよなら〜
【家族 その他小説】

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手紙〜言えなかったさよなら〜-4

「へ!?なんで??」


「バァチャンが…死んだ」


……そんな


まさかこんな何でもないような日に知らされるとは思わなかった。だがこれが現実。


メモリードホールの4階でバアチャンは静かに目を閉じていた。あの日から一度も目を開けなかった。そのまま奇跡は起きなかったんだ。


次の日、バアチャンの通夜があった。俺は悲しいというより寂しいという気持ちがいっぱいあって、それでも強がって平気なフリをした。
だけど、司会の人がバアチャンの生い立ちとか話してるウチに俺は泣き出してしまった。


絶対泣かないつもりだったのに


暗い暗いホールの中で、俺の涙は悲しみと寂しさを訴えた。


ごめんよ…

バアチャン……


俺ね、ホントにバアチャンに謝らなきやいけない事いっぱいあるんだ


やせ細って冷たくなったバアチャンの顔を俺は少し優しくなでて、何も言わずに作り笑いをした


寒気がするほどひんやりしていた


何も言えない。ましてはサヨナラなんて…


拝啓、バアチャン…


あなたは知ってますか?


あなたが死んだ後、俺はホントにどうしようもない人間になっちまったこと


もしあなたが見たら多分何度ぶたれるか分かったもんじゃあないかもしんない


俺がくたばったら、思う存分叱って下さい


だけどね、色んな人に出会って、心から仲間と呼べる、親友と呼べるヤツらと同じ時間を過ごすことによって、少しはマシなバカになったんだ。だから手加減よろしくな


今はね、東京の短大行ってんだ。まだ夢とかハッキリしたモンはないけど、スゲェヤツになるって目標は未だに消えちゃあいないよ。実際俺が大学なんて行ってるなんて信じられないよ今でもさ。真面目っツラしてネコかぶってるようなヤツらと一緒のデスクに座ってカリカリやってんだよ。ホント嘘みたいだ。でもここまで来たんだ。頑張れるトコまで頑張るよ。


そうそう。今年の夏休みに実家に帰ってきた時さ、バアチャンの墓に線香やったんだ。あの石の下には骨しか入ってないのにさ。手なんか合わせちゃって、恥ずかしいからバレないようにコッソリ朝に寺に忍びこんだりしてさ、笑っちゃうよね。


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