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手紙〜心閉ざしたダチへ〜
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手紙〜心閉ざしたダチへ〜-3

物心がついた時から、アイツの両親は離婚し、姉はどこか違う県に去り、母は数ヶ月に一度くらいしか帰って来ない。兄は知的障害を持っていて、面倒はMが見ていた。あとは過保護なバアチャンとジイチャンがいるくらいだ。そんな家庭にいたら、冷たくもなるだろうし、裏切りに対して敏感にもなるだろう。人に裏切られた時、一番込み上げてくる感情は、憎しみよりも、悲しみや寂しさだから…。


俺がその事を知ったのは小学?年の時だった。


他にも、アイツは冷たい感情の裏に、暖かい一面をいっぱい持っていた。俺の代わりにボコボコに殴られたことだってあった。俺はたまらなくなって助けに行きたかったか、止められてどうしようもなかった。なのに、アイツはその後何も言わなかった。俺を責める気配すらなく、笑って接してきた。ホントにスゴいヤツだった。


だけど、デリケートな面だってあった。気付かないことが一番罪だなと今は思う。Mは今はもう…


そんな俺達も次第に成長し、中学に入り、俺は陸上部、アイツは剣道部に入った。小6くらいからクラスも違い、あまり話す機会がなく、つるむ友達も違っていった俺達は、中学に入ってますます話さなくなった。


たまに体育館を覗けば、剣道部は一生懸命練習をしていた。皆が面をかぶっていて、体格がゴツいもんだから、アイツを見つけることはできなかった。


中?になってまた同じクラスになった。同じクラスになったのはいいが、アイツはほとんど誰ともつるんでいなかった。冷たい瞳は、悲しい瞳に変わっていた。気力を逆に吸い取られるほど負のオーラのようなものすら感じた。


寂しさ、辛さが重なって、蓄積されていけば、どんなに強い心も、古枝のように音を立てて折れてしまう。高校になってそれを初めて体験した。アイツはもう折れてしまう寸前だった。アイツは学校に自分の居場所を持っていなかった。
体格の割に冷たい目…それに対する周囲の感じ方が小学校の頃に比べて全く違ったからじゃないかと思う。アイツの陰口を言うヤツまで現れ始めて、アイツはボロボロになっていった。

クラスには同じ剣道部の友達がいて、ソイツと俺が(ソイツは今でも親友の一人なんです)たまに話しかけるが、Mはやっぱり、昔のように笑ってくれなかった。


気付いたら俺達は中?になっていた。


また同じクラスになれたのはいいが、今度は陰口がエスカレートして最悪な事態を招く結果になってしまっていた。


…イジメだ


しかも、そのメンバーには俺もいた。暗い性格のMにムカついてきて、その当時感情に正直だった俺は親友と呼んでいた存在にまで手を出してしまっていた。


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