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自灯明。
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自灯明。-1

僕は泣き叫んでいた。
頼みにしていた糸が切れた。
そして僕を待ち受けるのは
漆黒の闇。 

自分の居場所さえ遮る暗闇。 
視界に映る物無し。 
進むべき道を照らし続けた朧気な月明かりさえ今は見えない。 
平行感覚すら失いかける不安が心を巣食う。 
より暗い底まで溺れゆくのか。
光を奪い尽くす黒。

出口のわからない今。 

怖い。 

出たい。 

光を浴びたい。 

何かに頼りながら、道しるべにしてきた今までを羨む。 

光は届かないのか? 

一人では生きていけぬ弱い存在なのか。 

苛立ち。 
泣き叫び。 
彷徨い。 

光を求める。 

誰かに助けを乞う。 

誰も叫びには応じなかった。

自分の存在を打ち消すような残酷な闇。 

何処までも広がる闇の中で僕は泣きじゃくる。 
弱さを露呈した。 
強がりを脱ぎ捨てて。 

先生の声を思い出した。

「行き詰まったら深呼吸しなさい。よく自分を見ること。」

こんな闇の中じゃ自分の輪郭さえわからないよ。 

消えそうな自我。 

光放て。 

言葉では簡単だけど。 
今の僕の何処を探してもその着火剤はないんだ。 

夢破れた。
愛も失った。 

その他に何が残る。 


「全てを無くしてもまだ残っているもの。それが自分。自分を信じる限り光は失われない。それが誰であっても。どんな状況でも。」

そんな暖かい言葉も今はきれい事にしか聞こえないよ。 
僕は闇を彷徨い始める。
此処にいても変わらないから。
不意に足を踏み外して僕は落下する。   

いいんだ。 
これで楽になれる。 
思い煩わずにすむなら。 
そっと目を閉じた。 

「生きたくないのか?今諦めれば本当の闇しかないぞ!」
先生の叫び声が思いださせた。 

家族。
故郷。
思い出たち。 


生きたい…… 

まだ死にたくないよ…


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