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しにがみハート
【コメディ 恋愛小説】

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しにがみハート#6-1

【よぉ。今度遊びに行かねぇ?
もちろん、絢芽ちゃんも一緒でさ(゜ー゜)】
学校から帰ると、携帯に理人からのメールがきていた。
【分かった。どこ行くか?】
カチカチとボタンを打ち、メールを返す。
「孝紀さぁん、何してるんですかぁ?」
ひょこっと、横から顔が出てくる。
絢芽は制服にエプロン、という恰好をしていて、料理の練習をしているらしい。
最近学校が終わると絢芽の家に必ず行き、料理の味を見てやっている。最近…漸く食えるモノになってきた。
「メールだよ。絢芽は携帯持ってなかったっけ?」
「携帯欲しいです…。…あ、焦げちゃう!!」
おたまを振り回しながら、ぱたぱたとキッチンに戻っていく絢芽。…なんか、新婚生活みたいでほほえましいな。

ウ゛ウ゛ウ゛…と、携帯のバイブが鳴り、ディスプレイに理人の名前が映し出される。
【そうだな…来週、映画館にでも。】
映画館か…、そういや、絢芽は映画未体験だな。
【おっけー。じゃあ、また明日学校で♪】
メールを返して、携帯を閉じた。


〇〇〇


「絢芽流、ちゃんとしたハンバーグ」
コト…と、テーブルにハンバーグが置かれた。見た目はちゃんとしたハンバーグ。さて…お味は!?
「いただきマス…」
「どーぞ〜」
パクっと口に入れると、俺は思わず感動した。
「う、美味い!!」
「美味いですか!?ぃぃよっしゃぁぁ!!」
「食える食えるー」
初めてまともな料理を作った絢芽に対し、思わず涙が出てくる俺。
「次はデザート!!ちゃんとしたオレンジゼリー!!」
「よし来た!!」
揃いも揃ってハイテンションに変化した俺は、次に出されたオレンジゼリーも躊躇なく口に運ぶ。
「いただき……ぶふっ!!」
口の中に訪れた、強烈な苦みと渋味。
まともに食えるもんじゃないし、第一ちゃんとしてない。
「あちゃー…デザートは難しい…ですね」
「次はデザート練習か…口が痛い…」
絢芽のお料理レッスンには、まだまだ付き合わされそうだ。


〇〇〇


「そういえば、さっきは誰とメールを?」
そうだ、言うの忘れてた。
「来週、映画見に行こうってな。」
「映画…良いですねぇ♪」
「何観るか、考えときな」
「はい!!…それより、私も携帯が欲しいです。…いっぱいメールしたいですし…友達もたくさん増えましたし…」
そういえば、絢芽は携帯持ってなかったか。この時代、携帯無いと何かと不便だしなぁ…。
「じゃ、明日学校帰りにでも買いに行くか?」
「…さすが孝紀さん!!」
「でもアレだぞ?さすがに携帯までおごるのは無理だぞ?」
「なっ……い、いや、大丈夫ですよ。私が払いますよ。私の携帯ですしー♪」
何?今絶対おごらせる気でいたよね?確実に動揺を隠し切れなかったし。

「じゃー、明日なー」
「おやすみなさい♪」
夜になり、絢芽宅を出る。
…ま、家が隣だし、大して変化はないけどな。
「ただいまー…」
絢芽宅を出て、徒歩15秒。自宅に着き、ドアを開けると里紗姉が仁王立ちで立っていた。
「何してんの?里紗姉?」
「そろそろ出とかないと読者の皆様が忘れるんじゃないかと不安で不安で…!!」
「…は!?」
「大体あんたのシリーズが長いの!!早く終わらせなさーい!!…私と暁が出れないでしょ…ぶつぶつ…」
「ごめん里紗姉、意味が…」
「このやろー!主役の椅子は私がー!!」
「痛っ!!ちょ、待て、ギブ!!ギブギブギブ!!」
ごめん、里紗。ごめん、孝紀。(by作者)


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