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「雨のち虹」第1話「アンラッキー」-4

食堂の中
一番端の席で彼女は
ココアを飲んでいる
僕はコーヒー
「はぁ・・」
彼女はココアを飲んでほっとしたような顔をしている・単純に可愛かったがそれよりも・なんかわかりやすい子だなぁとか感じていた「少し落ち着いた?」「はい・・・・でも」
「何?」
「あの・・先輩はなんでここまでしてくれるんですか・・?」
「え?」
・・まぁ彼女にしてみればこれもナンパと変わりなく見えても仕方がない・・何せ助けたからと言って別にここまでする必要もなければ
それどころかこれ以上話す必要すらなかったのだ
「なんでって君震えてたし・・あのままほっとけってのもひどくないか?さっきの奴が戻ってくる可能性もあるしさ」昔から無駄に心配性だった・・今回は自分の目的も含まれてはいるが
「震えてなんか・・いません・・」
「はぁ・・そうだったか?」
まさかそこを否定されるなんて思わなかった 見かけより強情な子のようだ・・
あるいはまだ 警戒していて彼女なりの防衛 手段なのかも知れない・・
「まぁそんなに強情にならなくても・・女の子はそれくらい弱みがあるほうが丁度いいと思うよ?僕は」
すると彼女は不機嫌そうな顔で・・
「先輩、口調と一人称がマッチしてません・・少し変ですよ・・」
思わぬ反撃をしてきた「ひ、ひどいな!僕は これが普通なんだ!」 多少自覚していたが・・まさか今つっこまれるなんて誰が思うだろうか・・
「しかも笑顔が怪しい ・・」
「なんだこの攻撃!?仮にも助けたのにも関わらず!」
落ち着いたせいで本性がうきでたのか?
なかなか反撃の隙が見当たらないし・・
だがいつの間にか目を見て話てくれてる・・
警戒とけたみたいだし話を進めよう
「ま、まぁいいや・・
実は君を誘ったのにはもう一つ理由があって僕はそっちが本題だ・・話進めさせてもらうよ?」
「・・なんですか・・?」「悩みあるよね?」
彼女は少し戸惑ったようだった
「実は部活でお悩み相談室なんてやってて
ついでに新入部員も探してて・・」
「つまり悩みを聞くかわりに入れということですか・・」
「あわよくば・・ね
入るかどうかはあくまで君が決める事だ」
「第一私は悩みなんてないです・・なんで悩みがあるとか・・」
「いやぁ・・君は心の揺れ動きが激しいし
必死に自分を守ろうとしている・・それに・・
目・・悲しい目をしてるから・・つい」
謙虚に言ったがやはり彼女には悩みがありそうだった・・目から心の 動きを読むのは僕の十八番だから 「そんなこと・・ありません・・」彼女は俯いて 泣いている、しかしその事に彼女自身が気付いていないようだ・・
きっと強がりすぎて涙すら認識出来なくなってしまったのだろう・・そんな事を思った・・

同じだ・・昔の僕と・・

重ねたのは・・強さを求めるあまりに逆に心が脆くなっていた昔の自分−・・
檻をつくった彼女
それに気付いた僕
それが僕らの始まりだった・・
『雨の日の記憶』  
私は水綺すずめ
大切な人を失った。
あの日以来私はあまり眠れていない
「はぁ、・・」
「まだ4時・・」
私は枕のそばでカチコチと時を刻んでいる目覚まし時計を忌々しくみつめた・・


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