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「雨のち虹」第1話「アンラッキー」-13

しばらく何か話していたようだが・・
男達の方が一目散に逃げ出した・・
気が動転していたのであまり内容は聞いてなかったが・・
「ハイエナ」という言葉と彼がこのあたりでは有名人らしいこと・・あとは名前・・合世 空という名前が聞こえた・・校章からして二年生らしい
(・・変な名前・・)
それが率直な意見だった・・
しばらくすると向こうが名前を聞いてきた・・答えると
きれいな響きだと返された・・さっき先輩の名前を変だと思った事に少し罪悪感を感じる・・・
会話しているうちに
少し落ちつきつつ
あったが
それと同時に先輩に対する不信感も出てきたそろそろ、それとなくこの場を離れようとした時
不意に私の恐怖をかきたてる物が体に触れる・・
私は思わず体を震わせた・・雨だ、天候は気にしていたがさっきの出来事で忘れていた・・
建物の屋根側によったそして気付くと先輩は私の方をじっと見ていた、よくよく考えると・・
私が雨に敏感な事を知らない人から見れば
なかなか変なんじゃないだろうか?
中学ではみんな小学校の頃からの付き合いで理解してくれていたので気にした事がなかった・・
だが私のそんな不安をよそに先輩は食堂を指差して
「入る?雨嫌いみたいだし・・飲み物位なら奢るよ?」
意外だった、ここまで読まれてるなんて・・
よっぽど私は外にでやすいらしい・・
食堂の中先輩はココアを奢ってくれた・・

「はぁ・・」
温かい感覚のおかげで一気に落ち着いた
「少し落ち着いた?」先輩が問いかける・・
落ち着いたはいいが
先輩はどうしてここまでしてくれるのか、疑問が募った・・
「はい…でも」
落ち着いたついでに募った疑問をぶつける
「何?」
「あの・・先輩はなんでここまでしてくれるんですか・・?」
「え?」
私は一応疑っていた・・だが・・先輩は不思議な雰囲気があって
どこか本気で疑いきれないのも事実だったが・・
「なんでって・・君震えてたし・・あのままほっとけってのもひどくないか?さっきの奴が戻ってくる可能性もあるしさ」
もっともな理由だったでもその言葉が本気なら、そうとう先輩はお人好しらしい・・
でも正直私は
他人に「弱さ」を見せてしまっていた事の方に焦った・・

「震えてなんか・・いません・・」
ほぼ反射で否定してしまう・・仮にもまだ素性が知れない人だったし「はぁ・・そうだったか?
まぁそんなに強情にならなくても・・女の子はそれくらい弱みがあるほうが丁度いいと思うよ?僕は」
なんだか甘く見られている気がして・・あまりいい気はしない・・・・
思わず反撃してしまう・・
「先輩、口調と一人称がマッチしてませんよ・・少し変です・・」
紛れもない事実だ・・先輩の口調に「僕」という一人称はミスマッチだった・・
「ひ、ひどいな!僕は これが普通なんだ!」 ・なんだか面白くなって思わず追加攻撃・・
「しかも笑顔が怪しい ・・」
「なんだこの攻撃!?仮にも助けたのにも関わらず!」
この間に先輩に対する不信感は失せつつあった・・
こんなに本音で人と話したのは久しぶりだったし・・
そんなこんなで話している内に先輩は本題を切り出した

「悩みあるよね?」

先輩はいきなり聞いてきた・・私は少し動揺してしまった
その後の先輩の話を聞く限り・・悩みを解決するかわりに部活に入って欲しい・・大体こんな意味だと思う・・
でも私は意固地に
なっていた・・

誰にも頼らない・・


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