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「雨のち虹」第1話「アンラッキー」-12

大きな桜の木の下で
家族で写真を撮っている姿が目に入った・・
無性に悲しかった・・
正確には寂しかったのかもしれないが・・
ぼんやりと・・しばらく眺めていると声がかかった
「お前一年か?ちょっと一緒に遊ばねぇか・・」
柄の悪い二人組が近づいてきた・・関わらないほうがいい・・か
そう思ったので無視する事にした
だが−
無視し続けていると
男達はキレはじめ
怒鳴りながら
私の制服のリボンをつかんで引っ張った・・
正直、事態の急変についていけてなかった・・「や・・・」
驚いて思わず声が出た・・
「可愛い声で鳴くじゃねぇか・・そそるな・・」そのままどこかに連れてかれそうになる
怖かったが・・
自分の力でなんとかしようとする意志は確かにあった
必死に腕をつかんで
あがいてみる・・
「この・・暴れるんじゃねぇ!」
太い腕はびくともしない・・頭の中に不安がよぎる・・
「もうこの子あそこ
に連れてっちゃう?」私をどこに連れてく気なんだろう・・
先程の不安が大きくなり自分の体の危機感に変わった
同時に生まれる焦燥感・・
「はなして下さい・・っでないと・・殺しますよ・・」
精一杯の抵抗だった 「へー怖いなぁ・・
そんな事いうんだ・・

腕をつかんでいる方がいう・・
次に見ている方がいった・・
「そんな強気がいつまでもつか試すのが楽しみなんだけどな・・」

抵抗は効果がなかった上にわずかだが状況を悪くしたようだった

そして次にリボンを強く引っ張られた瞬間
・・不安や危機感が意志を上回った
「だめ・・・助けてっ・・」
言った後絶望した・・
昨日の今日強く生きようと決めたのに・・
恐怖にまけて助けを求めてしまった・・
自分の弱さを
再確認してしまう
だが小さな声だったので良くも悪くもどうせ誰も気付かないだろう・・そう思った・・

その時だった、
太い腕がはじき飛ばされた・・
私は単純に驚いた
そして戦慄した・・
男の腕をはじき飛ばした男子生徒の目が・・
驚くほど冷ややかだったから・・
いや・・目だけじゃない・・まとう雰囲気が冷たかった・・
「なっ・・」
男は驚愕していた・・
その男子生徒の姿に・・だが次に私がみたとき男子生徒に、さっきのような冷ややかさはなかった
口調はふてぶてしかったが、
雰囲気はふてぶてしさと同時に、どこか頼りなさも感じさせ
表情からはさっきの冷ややかさが嘘のようにこんな状況でも朗らかさと温かさがにじんでいた・・


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