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渦巻
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渦巻-3

自分殺しか・・・いい気持ちはしない。でもやるっきゃないんだよな。そう自分に言い聞かせてトイレに入った。
落ち着くにはトイレに限る。風呂じゃダメだ、のぼせる。漫喫じゃダメだ、漫画読んで興奮しちゃう。やはり個室の中で最高の場所・・・それがトイレだ

ふと、昔を思い出した。付き合っていた彼女のことである・・・あの頃は自分勝手でよく泣かせていたな、今何してるんだろか、今の自分の状況を知ったらきっとザマーミロ!!って言いそう。今になって自分の罪に気づくんだ。だがもう遅い・・・これはその報いかな。

そんなことを考えながらトイレをでた。渡された銃はデリンジャー。小型で手のひらに収まるほどのものである。暗殺にはちょうどいいが、決定てきなパワーが無く、致命傷を与えるのは難しい。せめてトカレフ下さいよ!グロックとは言わないからさ〜心臓狙いか、もしくは苦しめて殺すのか!?趣味悪いぜ黒服さんよ。

さて、一人目行きますか・・・黒服からは大雑把な位置は伝えられる。そっからは自分で見つけるのだが、すぐ見つかった。行動パターンが同じだからね〜
人ごみが嫌いな自分は路地裏に入る。ビンゴ!!トレンチコートを羽織り、先回りして待ち伏せする。
「パン!パン!」
2発の銃声。1発じゃダメだ、2発目で初めて殺傷の決定打が下される。
いともたやすく「自分」は倒れた。即死ではない・・・苦痛にゆがむ「自分」を見つめる自分。この異常な状況下で平然としている自分が不思議だ。
精神的にタフ!ではなく、黒服による洗脳の一端か?

その場を急いで立ち去る。人の気配は無い、大丈夫だ。あと2人・・・。
この時すでに「自分」の息は無かった。

休む暇なく二人目。二人目からは簡単だ、同じ道にいればよい。勝手に向こうがやってくる。時間をずらして同じ場所に戻ると「自分」の死体はもう無かった。黒服が処理したのであろう

来た!!さっきと同じ要領でOK♪即座に二人目の「自分」を殺し、同じことを繰り返して三人目もサックッと殺した。
簡単!!こんなものか〜もはや罪悪感の微塵もなくなっていた。
そして、黒服登場。もう終わりましたよ!!これで自由だ♪

安堵の表情を浮かべる自分とは裏腹に、黒服は「ニヤッ」と笑った

「あぁ、これで自由になれるよ。」
黒服がそう言い放った矢先---------------------------

自分の周りを取り囲む警官。「お前には黙秘権がある!お前の発言は・・・」

!!!!!!??状況がつかめず頭が真っ白になった。

どのくらい時間がたったろう・・・ここは留置所。刑事が取り調べに来た。
「お前は殺人を犯したな、しかも3人も。証拠も証人もいる。言いのがれはできやしないよ。」厳しい表情で刑事がにらむ。
当然のことながら、今までの経緯を話しても信用してくれなかった・・・
黒服は殺害現場を目撃し、通報した善意の市民であるという。

ハメられた、そう気付いた頃にはもう遅い。
裁判の結果、罪状は死刑・・・3人殺せば死刑は免れない。
弁護士を雇ったが、黒服が手回したのか、ろくな弁護もせずに負けた。
「被告人はなんの躊躇も無く被害者を殺害し、その理由は到底理解しうるものではない。精神鑑定でも異常は見られず、被告人は殺意を持って犯行に及んだことは明白である。よって情状酌量は認められず、検察側の求刑どおり死刑を宣告する。」
裁判官の言葉がズシンと響く


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