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引力
【学園物 官能小説】

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引力2-2

手をつないでゆっくり歩いて公園を出る。
…ゆっくり?
あぁ…あたしの歩幅に合わせて歩いてくれてるんだ…。
また少しうれしくなって思わず握る手にキュって力を入れた。
篠原がそれに答えるように握り返してくれる。
「へへ…ねぇ、どこ行くの?」
「んー、まだ決めてないんですよ。映画でも観ます?」
「あ、ねぇねぇ。あたし観たいやつある!」
前から観たかった映画を告げると篠原は意外そうな顔をした。
「恋愛ものじゃないですか。君はアクションものとかが好きなんだと思ってましたよ。」
さも驚いたように篠原が言う。
「何よ。あたしだって恋愛映画くらい観るもん。」
あたしは頬を膨らませて言った。
「はは。そうですね。じゃそれ観ましょうか。」
バスに乗り映画館へ向かう。
座席指定のチケットとジュースとポップコーンを買って中へ入る。
日曜日のわりには客が少ないみたい。
「結構すいてるね。」
小声で篠原に話し掛ける。すると篠原の顔がこっちに近づいてきた。
『え!?キスされる??こんなとこで!?』
思わず目を閉じると耳元で篠原が囁いた。
「そうですね。」
目を開けるとクスクスと笑う篠原がいた。
またからかわれた!!
「もうっ!」
篠原の肩を叩こうと手を振り上げたら、簡単に手首を捕まれた。
篠原はそのまま手を下ろし自分の膝に乗せる。
「静かに。始まりますよ。」
ホントにコイツは…。
映画が始まっても繋いだ手が気になって集中できなかったけど、だんだん映画に入り込んでいった…。

映画は些細なことですれ違い別れた恋人が、様々な出来事を通して再び結ばれるハッピーエンドの話だった。
後半からあたしは泣きっぱなしだった。
篠原が見兼ねて差し出したハンカチを握りしめて最後まで泣いていた。
映画が終わり館内に明るさが戻ると篠原はあたしの顔を見て吹き出した。
「…え?…やだ、そんなに変な顔?」
慌ててカバンの中から手鏡を取出し自分の顔を見ると、目も鼻も真っ赤ですごい顔になってた。
「どうしよ…ひどい顔だぁ」
「そんなことないですよ。映画でこんなに泣くなんて可愛いじゃないですか。」
「うるさい。」
あたし今まで映画やドラマで泣いたことなかったのに……。なんでだろ……変なの。

映画館を出て、次はどこへ行くか相談する。
でもこんな顔で外を歩きたくなかった。
それを告げると篠原が
「じゃ僕の家に来ませんか?ここからスグですし。」
と言った。
「えぇ?篠原んち?そんな…いきなり行ったら悪いよ…。」
突然の提案にびっくりして、あたしはそう答えた。
「大丈夫ですよ。僕一人暮らししてるんです。」
「え?そうなの?」
「高校に入る時から、しっかり自立できるようにって親の命令で一人で住んでるんです。まぁ仕送りしてもらってるんで、自立とは言わないですけどね。」
「……なんにもしない?」
ちょっと考えて、あたしが聞くと
「君が嫌がることはしませんよ。」
篠原は答えた。

そう言いながら歩いて行くと10分ほどで篠原の家に着いた。結構きれいなアパートだ。その2階にある篠原の部屋に入る。
「うわ…」
思わず声が出た。
なんて整頓された部屋……あたしの部屋には呼べないな。と思うくらいきれいに片付いている部屋だった。
「どこかそこら辺にでも座っていてください。今お茶入れてきますから。」
篠原がキッチンでお茶を入れだす。あたしはベッド横の床に座った。


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