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引力
【学園物 官能小説】

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引力2-1

あれからあたし達はなんていうか、その…付き合うことになっちゃった。
でも篠原とイチャイチャするなんてなんか恥ずかしくて無理!
だから付き合ったといっても、今まで通り憎まれ口を叩き合うような感じで、そこらの恋人の様に甘い雰囲気にはならなかった。
「……北崎さん?」
篠原が黙り込んだままのあたしの顔を覗き込んでくる。
一応付き合っているということで篠原は毎日部活の後、あたしを家まで送ってくれる。
今日もいつもの様に送って貰ってる最中なのだが、この二人っきりの時間があたしはとんでもなく苦手で、いつもはほっといても勝手に動く口が、この時間だけはちっとも動いてくれない。
「毎日毎日帰る時は無口ですね。」
篠原がクスリと笑いながら言った。
「いや、あの、だってホラ…何しゃべっていいかわかんなくてさ……」
アタフタしてしまった…。どうもいつもの調子が出せない。学校で見かけるカップル達の自然な会話なんて真似できそうにない。
「そんな緊張しなくても。いつも通りでいいんですよ。」
篠原がさも可笑しそうに笑う。なんでこいつはこんなに余裕なの!?………だめだ。なんか腹立ってきた。
「だって!仕方ないじゃん!あたし付き合うの初めてだし、いつも通りなんてできないもん!」
あぁ……なんて子供染みた反論だろう。自己嫌悪。
案の定、篠原はさらに可笑しそうに笑う。
「ひどい!そんなに笑うことないでしょ!」
思わず顔が赤くなった。
くやしい……なんか涙まで出そうになってきた。
「すいません。いや、君があんまり可愛いこと言うから。」
人差し指で涙を拭いながら(泣くほど笑うな!)篠原が言った。
「もういい!バカっ!」
そう言うとあたしは歩く速度を速めた。
もっと赤くなった顔を見られたくなかったから。
でもきっと耳まで赤いからコイツにはバレちゃってるんだろうけど。
「ごめん。僕が悪かった。」
篠原は急に真面目な声で言ったかと思うと、あたしの手を握って立ち止まった。
「謝るから一人で歩かないでください。もう大分暗いんだし危ないですから。」
「……うん。」
ズルイ。
なんでコイツはこんなにあたしの気持ち掻き乱すんだろう。繋いだ手から、あたしのドキドキが篠原に伝わりそうで強く握れなかった。 

「北崎さん。明日の日曜日空いてますか?」
あたしの家の前に差し掛かった頃、篠原が言った。
「え?う、うん…空いてる。」
「よかった。じゃ、明日デートしましょう。」
あたしにとっては一大事なのに篠原はさらっと言う。
待ち合わせ場所と時間を言うと、
「じゃ、また明日。」
と、手を振って帰っていった。


「初デートか……」
部屋に入ってベッドの上に転がりながら呟いた。明日だよね………。…………………!!!!何着てこう!?
ベッドから飛び起きタンスやクローゼットからいろんな服を取り出しては鏡の前で合わせてみた。
「スカートの方がいいかな……意識しすぎみたいだしパンツの方がいいかな……?」
ブツブツ言っては服を換え、悩みながら何時間もかかって服を選んだ。
結局女の子っぽい服に決めた。
キャミソールの上にカーディガン。それにフレアのスカート。
うん。悪くない。
『明日どこ行くんだろう?初デート……でもエッチは一回してるんだよね……。明日も……?……やだ、まさかね。』
次々いろんなことを考えているうちに夜は更けていった……。


朝、起きた時は約束の時間の30分前。
「きゃ〜!!やばいって!!」
慌てて髪をセットして昨日決めておいた服を着て家を飛び出す。
待ち合わせ場所の公園に着くと篠原はベンチに座っていた。
「ごめん!!寝坊しちゃって…」
駆け寄りながら声をかけると篠原はあたしに気付いた。
「…………。」
篠原は無言であたしから視線を外した。
「……あは……この服変だった?」
いつもと少し様子の違う篠原に戸惑いながら尋ねる。
「あ、いや。違いますよ。ちょっと予想外に可愛かったものですから…。」
どうやら照れてるらしい。
「あはは。顔が赤いですよ?篠原君。」
わざと篠原の言い方を真似てからかってみた。
「……今日は饒舌ですね。」
ちょっと悔しそうな篠原。
なんかうれしい。
あたしをからかうコイツの気持ちがちょっとわかるかも。 
「さ、行きましょうか。」
何もなかった様に立ち上がると、あたしの手をとり歩きだす。
「ちょっ、どこ行くの?」
いきなり手を繋がれて、あたしの顔が熱くなってきた。
「はは。顔が赤いですよ?北崎さん。」
すかさず篠原が言う。
「…うるさい。」
やっぱりコイツには勝てないや。


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