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■LOVE PHANTOM ■
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■LOVE PHANTOM ■一章■-3

「ああ。お前を見たとき・・俺の中の記憶が言った。お前が俺の探していた人物だとな」
そう言うと叶は、自分の胸へ手を当てたまま動かなくなってしまった。
彼が何を言っているのか、そして何を考えているのか彼女には見当もつかないことだった。
自分には探される理由なんてどこにもなかったからである。生き別れになった兄弟という話も、両親の口から聞いたことがない。全くの初対面である。しかし、叶の表情からその言葉は、真剣そのものだと彼女は感じとっていた。
「よく分からないけど。人違いじゃないかな・・・」
「声をかける人・・間違ってると思うよ」
「いや、正しい。瞳が同じだ。俺の中の記憶にお前が映っている」
そう言うと叶は、ギュッと彼女の右手を両手で握った。驚きはしたものの、なぜかそれを振り払おうとは思わなかった。彼の瞳は、やはり何かを求めているように見える。
始めて会って、初めて触れたその温もりは何故かとても懐かしくも感じた。
「分かるはずだ。覚えているはずだ、俺にもお前を愛する血が流れている。俺はお前をずっと、ずっと、長い間探していた。」
「愛する」
痛いほど握ってくる叶の暖かな両手に、気がつくといつの間にか、靜里の両手も自然とそこにおかれていた。そして、何故だかわからず瞳から零れた涙が彼女のほほを濡らしている。体中が熱く、火照っていくのを強く感じながら、心から懐かしさを感じているのが分かった。 そして靜里はただ、あふれ出る涙を拭うことしかできなくなっていた。


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