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わたしと幽霊
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わたしと幽霊 -花-(後)-5

「…じゃ、なかったぁ!」
あたしは叫ぶと、センター街に向かってイキナリ突っ走る。
「おい?!」
追ってくる高谷さんの声を無視して、慌てて腕時計を見る。
うわぁ…あの店、何時までだったっけ?!
もうずいぶん日が落ちてしまって…
それでも人通りの盛んなセンター街を、ロウヒールのまま走るあたし。
うわぁん、走りづらい!
裸足で走りたい衝動を堪えながら、花屋さんに向かう。
そして、ドリフトばりの勢いで立ち止まった。



「…………。」

6時、閉店。
またのお越しをお待ちしております。

「……………。」

あたしは…呆然と立ち尽くした。

「間に…合わなかった…」

他の花屋さん知らないし…迷ってる間に閉店しちゃうだろうし…
んああああ…
あたしはふらふらしながら、手近なベンチにとすん、と腰掛けた。
合わせて、高谷さんもあたしの横に座る。
あぁ…緩んでた涙腺がまた…

「おい、どうしたんだいきなり…そんなに花が欲しかったのか?」
「うん…」
ぜえぜえと肩で息をして、声も枯れ果ててるあたし。
「明日、学校の帰りに買えばいいだろ」
「今日じゃなきゃダメなのよぉ…」
そう、今日しかダメなの。

だって――…

「だって…今日が高谷さんの…命日だから…」

高谷さんが死んじゃってから、8回目の命日…
あなたが消えた創立記念日の、8年後。

だから、花を買って…部屋に飾りたかったのに…

「ごめんね高谷さん…」
あたしはどっぷりヘコみながら、横に座ってる彼を見上げた。

高谷さん…?
てっきり、怒るかと思ってたのに。
彼は、何を言うでもなく。

ただ、真顔で――
じっとあたしを見ている。

どうしたの?
あたしも彼を見つめた。

………??

「高谷さん、どしたの?」
首を傾げて言うと、一瞬だけ彼の瞳が揺れて――…

「俺はすっかり忘れてた」
ふいっ、と目を逸らし、無表情で店の看板を眺めている。
やっぱ高谷さん、忘れてたんだぁ。
「8年も経っちゃうとね〜?」
花束を買ってても、買えなかったとしても、別に怒るつもりはなかったみたい。
…よかった。のかな?
でもお花、飾りたかったなぁ…
あたしは小さくへへっ、と笑って、ベンチを立つ。
「帰ろっか」
「…ああ」

んー…でもやっぱ余計なお世話だったのかな。
高谷さん、なんかいつもと様子が違うし。


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