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『凛』王朝
【ファンタジー 恋愛小説】

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『凛』王朝〜殺し屋の少女〜-1

『凛』王朝第一話

人とは、何なのか。信じて疑って、裏切って裏切られ、傷つけ傷ついて、欲に生き、ずる賢く、そして優しく、汚い。
生きる事に何の意味があろうか。ただ死んでゆくのを待つのか。苦労だけしかないならば、生きる意味などどうして見つけられようか。
私は、死にたくない。けれど、生きる事さえ虚しい。
ならば、『憎しみ』に生きよう。わずかに知る感情にいきるのだ。それが、いつか誇りとなるように、生きるのだ。憎しみさえあれば、私は生きてゆける。
この『道』を取ろう。どんなに汚い道でも、進む道はここしかない。この道は、私のためにあるのだ。

〜殺し屋の少女〜

時は30世紀。25世紀をすぎた頃から世界は崩壊を始め、数多くの国が海に沈み、戦争でつぶされ、今や世界は中国のものとなっていた。広大な大地と人口の多さと発展途上にある事がその理由だ。しかし、世界はまるで、原始に戻ったかのようだった。何度も続く核戦争により、環境は悪化。建物は崩壊し、大地は干からびて、森林も少なく、人を生かすものはほとんど世界にはなかった。唯一森林や海、大地が豊かなのが、中国だった。日本は自給がないため、すぐに植民地となり、中国に移り住む日本人はとても多かった。さらには生き延びるために、中国王朝に子供を売り払ったりもした。これから話す少女は、その一人である。

『黎(れい)。王様がお呼びだ。』
黎と呼ばれた少女は、丘の上に大きくそびえ立つ城の頂に立っていた。長い髪をなびかせて、赤いリボンで一つに結び、紫とピンクの着物を羽織り、腰には刀をいくつもさしていた。まさに、『美しい』少女だった。
『わかった。すぐ行く。』
と、少女は言って、その頂からトンと飛び降りた。何十メートルもあるのに、彼女はそれをものともしない。まるで、日本古来の『忍』のように。


『凛』王朝。世界を中国のものとした凛王が、作ったものだ。今は、その息子が王となり、世界を中国のものとして秩序を保つため、あらゆる手を使っている。植民地となった日本は、中国へのクーデターを度々図り、戦争は耐えなかった。『日本村』と呼ばれるそこは、日本から移り住んだ者が住む場所で規模も大きかった。先代と違って力のない王には、脅威だった。だから、凛王2世はある一つの事を実践していた。『日本人狩り』である。子供大人容赦なく、日本人を根絶やしにするものだった。日本人は逃げ惑ったが、中国軍隊は忍び寄り、1つ2つどんどん村は潰された。しかし、その軍隊はたったの5人。余りの強さに、誰も太刀打ちできないほど、彼らは脅威的だった。他の軍が一目置くほど、彼らは凛王2世の切り札だった。その軍を統括するのが、わずか15の少女『黎』だった。

王の間は、城の一番上の奥の奥にある。その前には、100人の兵が並び、守りは厳重だ。そこを検問なしで通れるのは、長官(側用人)とお付きの女官と医務官、そして黎ら5人の機密軍隊だけである。
『王に呼ばれ、参った。』
『王様、黎様がお見えです。お通しいたします。』
『おお、黎か。通せ。』
襖があけられたそこは、まるで別世界だ。金粉で塗り尽くされた襖や壁は、恐ろしいほどの輝きを放っている。城の外とのあまりのギャップに、黎は未だに慣れない。
『王、お呼びと聞いて参りました。』
黎は、王の前で跪いて、そう言った。
『ああ。実はまたおまえたちに頼みたい仕事があるのだ。』
『日本人狩り…でございますね。』
そうではないかと思っていたが、まさに的中だった。1週間仕事をしていなかったので、久々の仕事に心は浮き立った。
『嬉しそうな顔だな。』
黎の心情に気づいたのか、王が声をかける。
『あ…、はい。とても。また王のお役に立てます。』
『それならばずっと前から、お前は私を助けている。違うだろう?また殺せる事が嬉しいのだろう?それも日本人をな。』
黎は、それを聞いた瞬間不適な笑みを浮かべる。その瞳は、光を写さず、闇を見ていた。それを見て王は笑ってため息をつく。


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