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底無しトンネル物語
【推理 推理小説】

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底無しトンネル物語U-2

僕は冷静に淡々としゃべる。
「そして今日は、ミサトを家まで送るとごまかしてカメラを略取した。さらに放課後になって僕をこのトンネルで襲いカメラを奪った。まあ争っている時に偶然撮った一枚に先生の銀時計が写っていましたよ。」
以上が僕の推理ですと言うと、先生は諦めたような表情で僕を見つめた。

「どうして生徒の見本となるべき教師が麻薬の取引なんかしてたんだ!やはり現金ほしさか?」
 警部が先生に問いただした。

「違う!怖がったんだ!教師になって俺は希望に満ちていた……何不自由なく普遍的に生活し、教師として勤しんできた! しかし、ある時に自らに言い知れない疑念が湧いてきた。恐ろしく醜悪な考えだよ。このままずっと同じ道を歩んでいいのか? 己の力量はこんなもんなのか? そんな不思議な懐疑を抱きながら生きていた時、こいつと出会ったんだよ」
 そう言って先生はスーツの男を憎そうに見つめる。
 その男はお尻をつつかれたようにビクついた。
「取引は毎週水曜日にこの底無しトンネルで行われていたよ……あとはその少年の言う通りだ。さっきは殴って悪かったな」
 先生は天井を見上げて俯いた。

「それでミサトは今どこにいる?」僕はすぐさま居場所を聞いた。

「手遅れだよ! あの子はもうすぐ海の藻屑さ……」
そう言って先生は薄笑い浮かべた。

「この野郎! 彼女に何をした!」
警部が声を荒らげて言った。

先生は不適な笑みを浮かべながら言った。
「あの子は港の埠頭にいる。車の中でスヤスヤ眠っているさ。エンジンのかかったままの状態でな」(クリープ現象の起こるギヤで)
 貴様あ! 警部の怒鳴り声がトンネル内に響き渡る。気がつくと僕は無心で港に走り始めていた──。


 町港の埠頭は、大型船を横付けできるほど海と陸との間隔が大きいため、あそこから落下したらまず助からない。僕が小さい頃によく親に警告されていた記憶が甦る。
 港の埠頭に着く! 僕は急いで車を探した! 遠くの埠頭の端でエンジンのかかりっぱなしの黒塗りセダンを! 先生が使っていた車だ! よく見るとゆっくりと前進している事がわかる! 
「やばい! このままじゃ海に……早く止めなきゃやばい!」
 僕は全力疾走したがあまりにも距離が遠いため追いつけない!
その時。「よお、こんな所で何してんだ? すごい息上がってるぞお前」

 そこには、自転車に乗ったタケルがいた。「いやぁ海側の町にあるスーパーにお使いたのまれてよ……やっぱり旬の食材は売り切れててな」とブツブツと無駄愚痴を言っている。

「おい! タケル! ちょっとその自転車貸してくれ!」

はあ?とタケルは疑問符を投げかけてきたが、僕はすぐさま自転車を奪い、それに乗り猛スピードでミサトがいる車へと走る!

 よくやく車に近づいき外から車内を見回す。後部座席に横たわる女子生徒の姿があった。ミサトだった。
「ミサト! おい起きろ!」
しかし何も反応がない……
刻々と埠頭と海の間隔が狭まってきている。
「ちっ! 車の運転なんてした事ないぜ。いや! だか背に腹は変えられん!」
 僕は自転車から降りてすぐに車に飛び乗った!

運転席に初めて乗ったために勝手が分からない…… 取りあえず足元にあるブレーキを踏めばいいんだよな。

ブレーキを踏んだ! しかし、何も起こらない! まさか…念のためにもう一つペダルを踏んでみたが車は止まることはなかった。


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