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わたしと幽霊
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わたしと幽霊 -花-(前)-2

「…危ないよ?」
バランスを崩して車道側に倒れたら大変!
そう思って、その子の横まで歩み寄って声を掛けたら…完全に無視された。
でも…ほっとくわけにもいかないし。
あたしがどうしようかと困ってたら。

「ああ、そいつ地縛霊だな。何言っても無駄だぞ。梃子でも動かん」
それまで様子を見ていた高谷さんが、呟いた。
えっ…地縛霊?
あたしは改めて辺りを見回す。
そういえば…小さな子がこんな危ないトコに座ってるのに、あたし以外誰も気にしてない。
幽霊…だったんだ。
だから、あたし以外の人には見えてないのね。

…………ん?
変だなぁ…幽霊かどうか、見間違えたりしないんだけど。
なんでだろ??
ま、こんな時もあるかな。

…でもさっきの声は、あまり感じのいいものじゃなかった。
よくない因果を孕んでるかもしれない…
そんな印象を感じた。
何か、悪い影響を蒔かなければいいけど…
幽霊にも色々いるから。

「じゃ……ねっ」
相変わらず無視するその子が気になりながら、あたしは人目もはばからずに小さく手を振り、その場を離れた。
あの子は、何を思って…何を待ってあの角に居るんだろう。
「ここは見通しが悪いからな…昔よく事故が起きていたんだ。過去の被害者だろうな、おそらく」
と、高谷さん。
過去の被害者…?あんな小さな子なのに。
「…………」
あたしが彼くらいの年の頃は、とにかくやりたいことが一杯で、何もかもが目新しくて、楽しい事ばかりだった毎日。
でも彼は…これまでの、これからの思い出も失ってしまったんだ。
まだ…あんなに小さいのに。

「道連れを引き込んだりしなければいいがな」
高谷さんの言葉…考えたくないけど、そんな事実も実際には有り得る…
「うん…」
あたしはその小さな背中を何度も振り返りながら、センター街に入っていった。



「これ、かわい〜」
「かわいい?花が?意味が分からん」
あはは…。男のコはあんま花に興味ないもんねっ。

あたし達が向かったのは、切り花屋さん。
店内には、見たこともないような色んな花が飾られてて、色とりどりで…すごくキレイ。
セルフなので、自分の組み合わせたいように花束が作れるんだ。
あたしはしばらくウロウロと店内を歩き回って、
「うん、これかな」
つまらなそうに後ろをついてくる高谷さんに、何だかちょっぴり悪いなぁ…とか思いながら、両手で切り花を持ってレジに向かう。
精算を終え、花束を抱えて店を出る。
選んだのは、サーモンピンクと白のガーベラ。
このシンプルさがいいの♪

「おい、フラフラせずに前見て歩けよ」
「は〜い」
でも両手の花束を眺めてご機嫌のあたしには、高谷さんの言葉は右から左に流れてる。
実は、今日の用事はこれだけ。
寄り道もせず、もと来た道を戻っていく。


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