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わたしと幽霊
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わたしと幽霊 -声--5

「…お前さ」
「ん?」
何だか沈んだ彼の声。
「我慢するなよ。嫌ならハッキリ言えって」

…どきりとする。
「…………」
咄嗟の言葉を…
…返せない。
「お前がハッキリ言わないと、俺は勘違いしたままだぞ?」
黙り続けるあたし。

「あのな……
じゃ俺から言う。何でそんな痛い思いしても我慢してんだ?お人好しもいい加減にしろよ」
だって……
「善い事して自己満に浸ってる訳でもない。お前のは本当に純朴な良心だ。だから余計に嫌なんだよ、俺は」
高谷さんは嫌なの?
別の痛みにずきっ…とする。
「お前を傷つけたくないんだよ。その……いい奴だから」

――いい奴かぁ…なんか嬉しいかも。
なかなか言って貰えないよね。
『イイヤツ』だなんて。
胸がじわっ…とする。

「嫌じゃないよ、全然。痛いのは恐いけど…でも高谷さんが何とかしてくれる、って分かったからもう恐くないし」
「…何にもしてないだろ」
してるんだって。
「もぅ高谷さんらしくない!いつもの無理矢理強引高谷節は!?」
「何だそれは」
背を向けたまま、苦笑いの彼。

でも 知らなかったよ。
そんな事考えてたんだ。
なら…高谷さんのほぅがお人好しじゃん?
本当に嫌じゃないから。
むしろ……

「とゆーワケで。これからもよろしくデス♪」
あたしの言葉に、彼は少しだけ首を捻った。
「お前、勝手に完結させたな?…聞いてなかった。もう一回考えろ」
「ん〜あたしバカだから忘れちゃったってか、痛いからちょっと寝るし〜」
「くそ…」


――今日、ふたつの発見。

ひとつ、イジワル高谷さんは意外にお人好し。

ふたつ。
…からかうと、意外にオモシロイ――かも。

まだキリキリと胸が痛んだけど、あたしは安心して目を閉じた。
意地悪でお人好しで…
あたしを見守ってくれてる背後霊サンがいるから――


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