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途切れる事なき想いの先
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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途切れる事なき想いの先-1

サヨナラは、きっかけ。あなたを、忘れるための。多分あの日私は、そんなふうに言い聞かせていた。

始まりは、わずか7つの頃。あまりに唐突なその出会いに、本当に驚いたのを覚えてる。
初めての言葉は、
『お前、誰?』
だった。
なんて失礼な奴!と思った。それが第一印象。
けれど、私に笑いかけた時のその瞳は、とても真っ直ぐで、私はその笑顔を、今もまばゆい光の中で思い出す。
何度も、何度も。

苦しいほどのこの気持ちを、『恋』と呼ぶようになったのは、まだ9つの頃。でも私は、いたって普通だった。
『幼なじみ』
その響きと関係が、とても心地よくて楽しかったから。終わりはいつかやってくる、ということを知らずに。

思春期に入り、私達は別々の道を選んだ。関係は変わらなかったけど、私の気持ちは切なくなるばかり。だって貴方の隣には、別の誰かがいた。私はその子が大好きだけれど、けど、貴方の隣は、私であってほしかった。こんなに理解できるのに、支えるだけの想いもあるのに、貴方が求めるのは、そんなものじゃなかった。

私が最初で最後と想われる、貴方の涙をみたのは、14の頃。怪我をして、夢を絶たれるかもしれなくて、貴方は絶望の淵に立っていた。その時ばかりは、救えるのはあの子じゃなく、私だった。

何度も練習に付き合った。
少しでもよくなるように、毎日祈った。貴方の苦痛を知り、涙を見た。
私はそれを静かに聞いて、ただ一言、
『あんたは強い。私はわかる。こんなことに負けないで。夢はまだつながれてる。あんたが立ち上がれば夢も立つ。あきらめないで。』
何度も同じ事を言った。
もしかしたら、軽々しかったかもしれない。でもありったけの想いを込めた。
貴方は立ち上がった。夢も、つながった。

私はその姿をみて、ただ立ちすくんだ。私はこんなにも小さい。弱くて、臆病だ。強くなりたい。この気持ちに追いつけるほどに、強く生きたい。

貴方の夢が、私の夢を呼ぶ。
貴方の強さが、私を叱り、守り、強くする。
そしてその全てが、私と貴方の絆をつなぐ。

けれども、運命は変わる。歯車は回る。貴方の全ては、あの子のものになってゆく。残されたわずかは、私の元へ。
苦しい、切ない、悲しい。
12年もの歳月は、こんなにも簡単に崩される。いつもなら、支えてくれるのは貴方。けど、今は頼れない。
遠ざかってゆくのは、貴方の方。私じゃない。

けれども時は流れ、想いは変わらず、記憶は記憶のまま、私の中に。

あの『約束』を思い出したのは、それから少し後の事。
『強くなる。そして、自分一人で立ってゆく。』
この誓いは、貴方とのもの。私は動くわ。貴方さえも知らない方向へ。
想いが届かなくても、出会った事を後悔しないように。でも私は弱いから。ささいな事で立ち止まるから。そしたらきっと、貴方がまた必要になるから。だから、少し道をそれて息抜きしたら、戻ってくるから。
その時には、笑顔でしょう。
私達、あの日のように一緒にいれるでしょう。
ね、そうでしょ?


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