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《魔王のウツワ》
【コメディ 恋愛小説】

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《魔王のウツワ・8》-4

♪♪♪〜

携帯が鳴った。俺のはマナーモードだから、七之丞のものだろう。

「…ヒメな…今、空手部の部室に連れ込まれたみたいやで」

素早く内容を確認した七之丞が言った。

「空手部…?」
「佐久間は空手部やぞ。早う行けや、ヒメ泣かせたら承知せえへんぞ」
「二股に言われたくない…ていうか、それ…何処情報だ?」
「ヒ・ミ・ツ♪」

顎を引き、人差し指を立てて、軽く笑った口の前にそれを持っていった。

「…キモい」

その七之丞の仕草に身体全体がゾワゾワする…
一文字ずつ区切って言うのが余計キモい…

「自分よかマシや♪後な、空手部の連中も何人かおるから気ぃつけや♪」
「ああ」
「そや、自分…それ終わったらヒメに告白するんやろ?」

まるで戦争映画の様な台詞…

「……勝手に人の死亡確率上げるな」

そう言って七之丞に背を向けた。行き先は決まっている。目的は一つ…姫をさらいに。

「…魔王?…上等だ」

唾と共に短く吐き捨てた。

※※※

「ホンマに手間の掛かる魔王様や…」

七之丞は去っていく鬱輪の背中を見ながら、二本目の煙草に火を着けた。

「さてと…魔王の親友の悪神としては何か手助けしたるか…」

七之丞は煙草を咥え、携帯を操作していく。やがて、ある番号が画面に表示されると煙草を外し、通話ボタンを押す。

───ガチャ…

『はいはい、情報販売専門店抜殻屋ですよ』

何度目かのコールの後、携帯越しに男の声が聞こえてきた。

「あっ、蝉丸さん♪わいや」
『おやおや、こー君ですか?お久し振り♪』
「こー君はやめてぇな…」

相手の呼び方に七之丞が苦笑した。

『冗談冗談♪で、どうしました?ゲームの情報をお求めですか?』
「あ〜、今日はちゃうねん。リアルの用事」
『珍しいですね、神足君がリアルの用事なんて…
で、依頼の内容は?』
「佐久間龍太郎の資産潰しと、悪行のリーク」
『了解しました。早速ですが、幾ら出します?』
「30」
『これは、これは…神足君がこんなに出すなんて…かなり…やばい仕事ですか?』
「蝉丸さん…人を守銭奴みたいに思てるやろ?」
『ははっ♪冗談ですよ。分かりました、けど、今回の依頼内容なら20で結構です。神足君の大好きな割引ですよ♪』
「おーきに♪いつもの口座から落としといて♪」
『はいはい、契約成立。毎度あり!またご贔屓に♪それでは』

───ガチャ…

「親父の方はこれでええやろ…息子はどないしたろかなァ♪…そや♪ええこと思い付いたわ♪」

黒い笑みを振り撒きながら、七之丞は再び煙草を咥えたまま、また何処かへ連絡をし始めた。


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