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『―俺が父親を殺した日―』
【家族 その他小説】

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「ー俺が父親を殺した日ー『家族』」-1

佐藤 大樹、高校2年、17才、父親を殺した。


ずっと殺したかった奴が死んでる。
目の前で、血を流して。
しかし次第に自分のやった事の重大さに気付く。

「ははっ……今頃かよ…」

今まで味わった事のない、恐怖や悲しみ、後悔が襲って来た。

「…お兄ちゃっ……」
恐怖で引きつった顔を覗かせながら由希は大樹の安否を気遣う。

「………」

「殺らなかったら、俺達が殺られてたんだ……遅かれ早かれ、どっちみちこうするつもりだった…」
由希は震えながら大樹の言葉を黙ってって聞き入っていた。
不意に大樹が立ち上がり、由希の目の前に座った。


「由希、よく聞いてくれ…」
大樹の言葉に由希は黙って頷いた。

「…俺は……」




ー1時間後ー


佐藤家には複数のパトカーが止まっていた。

だかそこに大樹の姿はない。
由希は警察官に保護されながら救急車に乗せられた。

警察は長男の佐藤 大樹が犯人とみて捜索にあたった。
凶器と見られるカッターから大樹の指紋が検出されたのだ。
父、佐藤 孝信は病院で死亡が確認された。

大樹が消えて3日後、某アパートから飛び降り自殺があった。
飛び降りたのは捜索していた大樹だった。

彼の手には写真が一枚握られていた、父、母、由希、大樹が皆笑顔で写っていた。

まだ両親が離婚する前に遊園地に行った時の写真だった。


由希に大樹の自殺が告げられた。
「お気の毒だけど…気をしっかり持ってほしい…」

大樹の自殺を告げに来た刑事がそう言うと一枚の写真を由希に差し出した。

「君のお兄さんが持っていた写真だ…このんな形で渡したくはなかったが。」

由希は写真を受け取り、しばらく見入った後、写真の裏に何か書いてある事に気付き、それを見て今まで我慢していたであろう涙を流した。


写真の裏には、「普通の家族になりたかった」と書いてあった……。


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