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空を肴に缶コーヒーを一杯
【エッセイ/詩 その他小説】

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空を肴に缶コーヒーを一杯-1

ある日の夕方
「ふー」
愛車(自転車)を自動販売機の前に停め、ペダルから足を離す。
「疲りた・・・」
ため息をつくときまっていうのがこの言葉
「学校、車校、バイトか・・・」
最近この繰り返しで日々を過ごしている
「だるいなー・・・」
思わず口に出た言葉
独り言を言ってしまったなーというちょっとした気恥ずかしさ
周りを見渡し人がいない事を確認
いない
少しだけ気恥ずかしさが薄らいだ

ポケットから財布を取りだし、百円を自動販売機に投入
百円の缶コーヒーのボタンを押す
缶コーヒーを取り出すと近くのベンチに腰かけ、プルタブを引き開ける

そして一口

「ふー・・・」
我ながら親父臭いなと思いながら前屈みに座り直す
少しだけ遠くを、車が走る音が聞こえる
夕飯の準備だろうか、いい香りが鼻をくすぐる

ふと、空を見上げる
薄朱色に染まる空に鱗雲が浮いている
肌寒くなってきた空気
太陽が短くなってきたこの頃
そんな要因もあいまってか
「秋だねぇ〜・・・」
そんな言葉を呟いてしまった
少しだけ気恥ずかくはなったがそれ以上に清々しくもなった
また一口、コーヒーを口に含み
空を見上げる
先程とあまり変わらない秋空
軽く息を吐き、軽く缶コーヒーを持つと愛車(自転車)のグリップに軽くぶつけ、一言
「乾杯」


しばらくして空になった缶をゴミ箱に投げた
ゴミ箱の縁に当たり地面に落ちた缶を拾い、改めてゴミ箱に入れた
手を叩きながら愛車(自転車)に乗り、もう一度空を見上げた
さっきより幾分か暗くなった秋空を見上げると、視線を戻し片足をペダルにかけた
「さぁてと、バイトだ」
独り言を呟き、ペダルをこいだ


さて、明日も頑張るか


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