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YourSong
【片思い 恋愛小説】

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YourSong-2

この日はこんなに幸せで、失うはずないと思っていた時間。
私のそばあるのが当たり前だと感じていた君の温もり。笑い声。優しい気な瞳。
私が歌にしたいモノ。
それはきっと…。


「奏…」
奏の死の突然の知らせ。
信じられなかった。
あの日私にキスした奏はあんなに元気だったんだよ?
でも、目の前にいる奏はあの日とはまるで違う青白い顔をしていて、いくら私が名前呼んでも返事をしてくれない。
痛々しく君の顔に残った擦り傷は、君が小さな命を守った証で…私から君を奪った事故の傷跡。
そっと、君の頬に触れてみると、一瞬君が笑った気がした。
「奏ぇお願い、返事してよ…」
私の涙が君の頬を濡らしていく。
どうして君は幸せそうに笑っているの?
私は泣いているんだよ?
男の子が女の子を泣かせちゃいけないて知らないの?
失って初めて気づいたことがたくさんありすぎて感情がうまくコントロールできない。
ううん。気づいていたよ…。
「やっとわかったのに…伝えたいことたくさんあったのに…」
君が私にキスしてくれた日に見つけた答え。素直になれずにいた私。
君はどうしてあの日私にキスしたの?
ねぇ、教えて欲しいんだけどな。
君は私のことどう思っていたの?
私は…ね…。



好きだよ。



いつの間にか君のこと好きになってたみたい。
返事聞きたいんだけどな〜。
あぁ〜なんで涙が止まらないの?
君は笑っているのに…。
君が笑ってくれているのに…。
私を支配する感情。
今はその感情に素直のなるね…。
私は静かに君と最後のキスを交わした。





人々が行きかう大通り。
数人の人が足を止めて私の歌を聞いてくれている。
君もその中の一人だったよね。
今思い返すとあっという間だったよ。
私はあれから強くなれたかな?
君の事を考えても泣かなくなったし、今は君の事を笑って思い出せるよ。
それに今でも君が好き。
「これが今日最後の歌です。天国にいる私の最愛の人に贈りたいと思います…」
いつもの特等席に君はもういないけど、私の心の中にいつもいるんでしょ?
きっと笑みを浮かべながら、私をバカにしている。
でも、君は優しいからやっぱり最終的には私を励ましてくれるんでしょ?
がんばれって…。
私を呼び捨てにして、敬語も使わないでさ。
君がいるから、私はがんばるよ。
君に届くように。
大きな声で。
「聞いてください。…『Your Song』」
私は息を大きく吸い込み伝えられなかった君への想いを空へと紡いでいった。


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