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希望屋
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@−猫に好かれる男−-5

「貴方がどんな姿をしていても、どんなに変わったとしても、彼女は待っていますよ。一つも欠けていない昔の貴方を」
俺は俺自身の一つを捨ててしまっていた。入ってきたときのこの店のようだ。でも今は、こんなにも晴れやかではないか。変わるんじゃない。強くなろう。彼女を守れるように。僕は僕らしく胸を張っていいじゃないか。
−チリン−
鈴の音色も、今は僕の背を押す応援にしか聞こえない。
猫が僕の膝に乗り、ニャーと一つ鳴いた。
「あらあら、私はもう嫌われてしまったみたいですね」
クスクスと楽しそうに笑う彼女が、今にも壊れてしまいそうに見えたのは、たぶん僕の見間違えに違いない。
すると突然、猫が光り出した。いや、性格には首輪がだ。
光りを腕で遮り、それが止む頃には一匹の白い猫と白い薔薇が一輪。
「今でもまだ間に合うのでは?」
間に合う?
いや、間に合わせるんだ!彼女のところへ一秒でも早く!
猫など気にせず、勢いよく立ち上がり扉をくぐる。
去る前にお礼が言いたかったが、今は急ぐ。
「また来てもいいですか?」
こんなにもすかすがしくなれる場所なんてない。いつの間にか、ここはいつまでもいたいところになっていた。
「はい、お待ちしております。頑張ってくださいね」
ニッコリと微笑み合う。
まただ。うっすらと寂しさを醸しだす表情。気にならないわけではなかったが、僕は走り出した。
彼女に逢いたい。何を話すかなんて考えてないけど、会って顔を見たい。そして伝えよう。僕が君を想うありったけの気持ちを。この白い薔薇と一緒に。
高揚感に包まれて、猫がついて来ていることに気がつかなかった。

ティーカップをさげ、花瓶の横に立つ。そっとそれに触れた。
「きっとうまくいくでしょう。そして、もうここには来ないでしょうね」
人に必要とされて初めて姿を表すその店は、誰にでも入れる場所ではない。ましてや二度目は皆無に等しい。それは、店の主が優しすぎるからかもしれない。
ひとつひとつの出会いを大切にし、またお客を迎えます。
迷える子羊を助けるために。
『お探しのモノ、差し上げます』


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