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‐酔‐
【学園物 官能小説】

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‐酔‐-1

「ぅぇ〜…頭痛いぃィッ」
志麻は頭を押さえて、机の上に伏せた。
「志麻ッ大丈夫?」
「う〜ん…」
友達の心配を軽くかわして、志麻は目を閉じた。
(話し掛けないで〜。ほっといて〜ッ)
体調が悪いときに話し掛けられるコト程、苦痛なコトはナイ。

「何だ、お前。二日酔いか〜?」
(ゲッ…こんな時に)
人の体調不良を嘲笑うかのように、ニヤニヤしながら向かってくる男。川上一成。志麻の宿命のライバルだ。
「…ウルサイょ…」
(ズキズキする〜…)
「あっち行け〜…」
志麻は机から顔を上げずに言った。
「あれ?いつもの迫力はドコに行ったのカナ?」
一成が志麻を煽る。
「ホラッ…いつもみたいに反論してみろょ」
「…くッ」
(畜生ッ!頭痛治ったらみてろょッ。―ズキッ う…また波が…)
志麻が何も言わないのをイイ事に、一成は言いたい放題言っていた。
「イイきみだなッ、志麻ッ。これで少しは女らしくなれたんじゃナイのか?」
志麻の頭の中を一成の勝ち誇った顔がぐるぐる回る。
「…んな…」
「ん?何だ、志麻ッ。聞こえねェなぁッ」
さずかの志麻もキレた。
「ふざけん…ッ」
(アレ…?目の前が真っ暗に…)
「キャー!!志麻ッ!!」
急に立ち上がった志麻は、数秒の内に床に崩れ落ちた。
「志麻ッ!!」
志麻は薄れゆく意識の中で、爽やかな匂いを嗅いだ。
(イイ匂い…何だろう)
志麻の記憶はココで途切れた。

―…
「ん…」
涼しい風が志麻の頬を撫で、志麻は意識を取り戻した。
「あれ…?ココは…」
志麻は保健室のベッドの中にいた。
(そういえば…あたし倒れたんだっけ…)
志麻はベッドから降りると、カーテンを開け、辺りを見回した。
(先生いない…)
保健室には志麻以外には誰もいないようだった。
―ガラッ
いきなりドアが開いたので、志麻は反射的にドアを見た。
「あら、志麻ちゃんッ。もう大丈夫なの?」
「先生ッ」
保健医が慌てた様子で入ってきた。
「ハイ。もう大丈夫です」
「そう。それはよかった。」
先生が身仕度を整えながら、続ける。
「ゴメンね。先生これから出張なの。先生もう行くケド、保健室いていいから」
先生は最後にお化粧をチェックして、部屋を出かけた。
「あ、川上にお礼言っておきなさいね。志麻ちゃんをココまで運んだの、川上だから。」 
先生はウィンクして、保健室を後にした。
「…一成が…?」
志麻は呆然と立ち尽くした。
(嘘…そんな事…)
「ん…?」
あの爽やかな匂いが志麻を包む。
「この匂い…」
志麻が意識を失う前に嗅いだ匂いだった。
「…あたしの…シャツから匂いしてる…」
(何でだろう…)
志麻は不思議に思いながらも、匂いを胸いっぱい吸い込む。
「イイ匂い…」
そして志麻は時計を見た。―10時18分
(…お昼まで寝るか)
志麻はもう一度ベッドに潜り、眠りについた。マリンブルーの香りに包まれながら。


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