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「ボクとアニキの家庭の事情」
【同性愛♂ 官能小説】

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「ボクとアニキの家庭の事情・1」-2

ブロロロロ・・・・・!
「だからお前、あんましくっつくなって、運転しにくいんだからさー」
いつもボクはアニキのバイクの後ろに乗る時、アニキにしがみつくようにして乗っている。
正直そっちの方が怖かったりするんだけど・・・・・。
「怖いのは判るケド、オレがハンドル操作ミスったら紅のがやべぇんだぞ?何回もゆーケド」
「アニキスピード出し過ぎー」
「アホか。これ以上スピード控えたら遅刻すんだろーが。つかむしろ50も出してねーのに何が飛ばし過ぎだ」

正直に言うと、ボクはいつも故意に朝寝坊している。
まぁ朝弱いのは事実なんだけど・・・・・。
何故かと言うと、アニキのバイクに乗っている時ほど、アニキの体温を身近に感じるコトはないから・・・・・。

「着いたぞ」
そんな物思いに耽る間もなく、5分程で駅に着く。

「よいしょ、っと。アリガト、アニキ」
「気ぃ付けて行けよ」
「うん」

そしてアニキはエンジンを掛けるとそのまま来た道を帰って行く。

(・・・・・やっぱかっこイイな)
と、一瞬見とれてから我に返り、駅の階段を走り上がって行く。
ホームに着くと同時に、いつもの快速が滑り込んで来る。
(これで取り敢えずは遅刻はないか)
と、これから小一時間ほどの予定を考えていると不意に後ろから背中を叩かれた。
「こーうっ♪」
「・・・・・ダレかと思った。イヌのクセに何でヒト脅かす時は気配ねぇんだよ、馨(かおる)」
今、いきなりボクを驚かせたのは植本 馨。
なんの事はない、中学の頃からの悪友だ。
愛称はポチ。
やたらとテンションが高く、ジーッとはしゃいでるのを見てるとイヌの耳と尻尾が見えてくる気がするのでボクが付けた。本人も最初は嫌がってたものの、今ではまんざらでもない気がする。
彼の兄はボクのアニキと同級生だ。
ちなみに関西出身という訳ではないが、両親が大阪出身で家では関西弁が飛び交っているらしく、その影響でコイツも普段関西弁を喋っている。

「イヌちゃうわ!えーやんオレだけやし、紅に気付かれんと脅かせんの」「日常生活に全く必要ない特殊能力だと思うケド」

普段ボクはアニキ以外にはあまり馴れ馴れしく話したりしないけど、こいつだけは数少ない対等?な言い合いを出来る間柄だ。

「まぁ取り敢えず電車乗ろや」
「・・・・・あんまり真ん中行きたくないんだよ、潰れるから」
ただ真ん中に行きたくないのには、実は後もう一つ理由があるんだケド・・・・・。

「きっつー」
ドコかで馨の声が聞こえる。
(だから言ってんのに・・・・・ってか、今日マジで人数多い・・・・・フツーに動けな)
そこまで思いを巡らせた所で、とあるコトに気付いた。
(・・・・・)
ボクの背中あたりに、何か堅い感触が当たる。
(最悪・・・・・)
この種の感触を身体に感じるのは、今まで生きてきた中で決して一度じゃない。俗に言う痴漢ってヤツだ。
(にしても・・・・・珍しいな、こんな発車してすぐとか)
先に断っておくと、あくまでボクは男だ。身体的にも精神的にも。
ただ、外見が人から見た時オンナの子に見える、いや、オンナの子にしか見えないって事は嫌になるほど知っている。
そして恐らくそれが元で今まで何度かとか数えるのも嫌になるくらいこんな事は味わっている。
痴漢だけじゃなく、痴女だったコトもあるし。


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