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忘れな草〜Forget me not〜
【二次創作 その他小説】

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忘れな草〜Forget me not〜-2

やがてドルフの体力もなくなってきてしまったのです。

ドルフは、自分はもうダメだということを悟りました。

そして
死期を悟ったドルフは
最後の力をふり絞って、
「……ベルタ!」

追いかけるベルタに向かって、手に持っていた花を投げ付けました。


「ベルタ!!愛している!!…僕を忘れないで!!」


そう言い残すと、彼の体はゆっくりと濁った水の中へと消えていきました。


急いで街に戻ったベルタはみんなに事情を話し、大勢の人がドルフの救出に参加しました。

捜索は夜を徹して行われました。

ドルフが川に落ちてしまった場所から下流へ向かい探し続けます。

次の日。
川の下流、少し水の流れが緩やかになる付近で、陸でぐったりしているドルフが発見されました。

自力で川から出ることはできたものの、そこで力尽きたのでしょう。
すでに息絶えていました。

ベルタは大変悲しみました。毎日毎日、ドルフを想い嘆き続けたのです。

その悲しみで風は止み、草は枯れ、水は腐り、大地が震えました。

周りの人達もベルタを哀れに思い、共に涙しました。


ある日、ふと涙でぬれた顔をあげると、窓際に一輪の花が挿してあるのが目に入りました。

ドルフが命と引き換えに取ってくれた、あの花です。

ベルタのお母さんが、花瓶に挿したものを置いていってくれたのでした。


ベルタは近付き、花の香りをかぎました。
するとどうでしょう。
素敵な香りとともに、ドルフの声が聞こえてくる気がするのです。

『……君を愛している。
泣かないでおくれ……
こんなに近くにいるじゃないか。
…僕は君を忘れない。
だから…君も僕を忘れないでおくれ』


まるで、花がドルフのメッセージを伝えてくれているかのような。

ベルタは涙を流すのをやめました。

ドルフはずっとベルタを見守っていてくれたのです。

自分がドルフの分まで生き、忘れないでいてあげることが、亡くなった人にしてあげられることなのだと気付いたのでした。


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