第一章 おきにいりの「ばしょ」-1
「あめ」が、ふっています。
シト、シト。
ピチャ、ピチャ・・・。
サトシ君はいま、いつものおきにいりの「ばしょ」にきています。
ちかくの「こうえん」にある、おおきなコンクリートの、やまのなかの「おすなば」です。
だれかがわすれていった、おもちゃのトラックが、「すな」にうまっています。
サトシ君は、きょねん、「おかあさん」をなくしています。
おおきなトラックに、ひかれてしまったのです。
びょういんで、「おかあさん」が、てをにぎって、いいました。
『サトシちゃん、ごめんね。いいこ、でね・・・』
そのまま、「おかあさん」は、ねむってしまいました。
おとうさんは、「てんごく」という、ところにいったと、いいました。
『いつ、かえってくるの?』
『いいこ、にしてたら、かえってくるよ』
『ボク、いいこ、だもん!』
サトシ君の「め」をみつめて、おとうさんは、あたまを、なでていいました。
『ああ、そうだな・・・。
サトシはいいこ、だ。
だから、きっとかえってくるよ・・・』
おとうさんは、そういいましたが、いちども、「おかあさん」は、かえってきません。
サトシ君は、よる、ねむるとき、おとうさんのふとんに、もぐりこみます。
『なぁんだ、あかちゃんみたいだな。
もう、5さい、なのに・・・』
そういいながらも、サトシ君をやさしく、だいてくれます。
でも、おとうさんのむねは、ゴツゴツしてて、「おかあさん」みたいに、やわらかくないのです。
おヒゲも、チクチクして、いたいのです。
それでも、サトシ君はあんしんして、ねむることができました。
サトシ君はすこし、「あまえんぼう」なのです。