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チュー、したい!
【コメディ 恋愛小説】

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第十章 氷とウィスキー-1

マンションのリビングで、瀬川は礼子からの手紙を読んでいる。
テーブルの上には、この部屋のカギがスペアキーと共に置いてある。

今更ながら、失ったものの大きさに驚いていた。
女を愛していたと今、気づいたのである。

女は自分の衣類と小物の他は、全て置いていったようだ。
自分が買い与えた物ばかりだった。
誰もいない部屋で、瀬川は手紙を読んでいる。 

男は苦笑した。
何か、肌寒いのだ。

こんな事ならもっと優しくしてやればよかったと思った。

男はコップに氷を入れ、ウイスキーを注ぐと静かに飲み始めた。

苦そうに顔をしかめた。
こんな時、男は飲むしかできない。

待ってみるか、と思った。
そう言えば、何年待たせたのだろう。

女の後ろ姿が目に浮かんでくる。
細い肩がいつも寂しそうに震えていた。

今は自分が寒さに震えている。
今日は何日だろうと、男は思った。

カラリ、と氷が溶けた。


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