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純情純愛無垢可憐宣言
【ボーイズ 恋愛小説】

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@〜いわゆるおれの自己紹介〜-1

「おちびの有理(ゆうり)くん、おはよう」
 ココナツのような甘い香りを身に纏った、長身の男前が声をかけてくる。この男、黒野黛樹(たいき)という。
「おはよーさん。ってかいぃ加減チビチビゆぅな。マジで殴るで」
睨みをきかす。…確かにおちびさんやけど。
「きっといたくも痒くもないからいいよ別に」
「おまえまじで性格悪いでな〜…」
おれのキツメの眼はさらに細くなってることやろぅ。 彼は、人の多い朝の駅のホームでも、かなり目を引く容姿をしている。栗色の髪は、一度も染めたり抜いたりしていないらしく艶やかで。181cmある身長も細身のせいでもっと高く思える。少し垂れ目で甘い顔立ちやちょっと鼻に掛かったような低い声、大きくて長い指。なーにもかもおれとはちがくて……だから惹かれたのかもしれない。

「今日は一段と冷えるなぁ。ほんま、風邪ひきそうやわぁ」
「ベストの上にセーター着て、マフラーまでしてる厚着っぷり、プラス馬鹿っていう丈夫な鎧を着てるんだから、だいじょうぶだろ」
にっこり笑っていう。
 神様!この男、性格歪んでますうぅっ!
よろよろして、ついつい白線を越えてしまったおれの肩を掴んで元の位置に戻してくれる。
 「…頼むから、俺の目の前でスプラッタにならないでくれ…」
 「すんませんね〜!おまえの口の悪さについふらっときてもうたわ」
 でもな、口悪いけどな、いっつもさらっと助けてくれるねん。勉強も見てくれんねん。かっこよすぎるで。おまえいいやつすぎるで。…おれはそんな親友に対してよからぬ感情を抱いてる。これってやっぱりあかんことなんかな…。



 おれは黛樹が好きだ。

高校の入学式、おれの前に座っていたのは、ココナツみたいな甘い香りの持ち主だった。慣れない一人暮らしで風邪をひいてたおれには、その匂いが不快だった。
(大阪に帰りたいなぁ…) 
弱気になるのには理由があった。
この学校は運動部が強いことで有名だった。いわゆるスポーツ校だが、文武両道をモットーとしており、バカは入れない。おれはここのバスケ部目当てに死に物狂いで勉強し、受験し、受かり、はるばる大阪から東京へとやってきた。でもバカは所詮バカだった。合格通知が来た次の日、チャリ対トラックでぶつかり、転倒。足を骨折。普通に生活は出来るが、バスケなど激しい運動をしてはいけないという診断を受けた。これじゃ、何のために親を説得して、勉強して、単身上京してきたのかわからへん…。
病は気から、とはよくゆぅたもんで、昨日から8度6分の熱がでている。
(前のやつの香水きつすぎ…吐きそうやぁ…)ぐらりと頭が揺れる。
うわぁ……やばい…頭からいってまう…口切れるかなぁ…痛いの厭やなぁ…
呑気な頭が徐々にフェイドアウトしていく中、前の奴が振り返るのが見えた。
その瞳が綺麗なのを見た。一目惚れだった。


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