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女らしく
【コメディ 恋愛小説】

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女らしく【17】『霊剣と妖刀とすれ違い』-3

「どうぞ座って」

学園長が大きな長椅子へと促した。
部屋にいるのは学園長といつものメンバー、そして向かいの上座には赤い毛に覆われた一本足の異形『一本たたら』。

「初めまして、鍛治屋をやっております赤金と申します」

しゃがれた、多くの年を重ねた厚みのある声だった。

「遠いところご苦労様です。早速ですが、依頼の方の説明を」
「はい…まずこれを…」

一本タタラの赤金さんは鞄から一枚の写真を取り出した。

「日本刀…ですか?」

写真には朱塗の鞘に納まった一振りの日本刀が写っていた。

「呪が施してありますわね…妖刀ですの?」

よく見ると、刀の鍔の辺りに呪文が書かれた紙が貼られ、抜くのを封じている様だ。

「はい、銘をカギョウ…禍々しき暁と書いて『禍暁』と言います。別名、血霞九十九」

ふと此所であることに気がついた。

「この刀…宵闇に似てる…」

この禍暁という妖刀は、大和が持ち歩いている霊剣『宵闇』に造りや雰囲気が似ていた。

「それはそうです。禍暁と宵闇は同じ鉄、同じ製法で打たれた兄弟刀なのですから」
「…知ってたか…大和?」

恐る恐る大和に尋ねてみた…

「…いや…知らなかった…この刀は九条の家に伝わる物だとしか…」

受け答えは短いものだった…
会話が続かない…

「この二振りの刀は今から約三百年以上前の戦乱の期に私の先祖が打ったと言われております」
「でも、何で一方は霊剣で、もう一方は妖刀なんかになっちゃったんでしょう…そう思いませんか、お姉様?」

隣りに座っていた詩乃が尋ねながらオレの顔を覗き込んできた。
詩乃も詩乃なりにオレを気遣ってくれている様だ。

「先程は同じ製法と言いましたが…厳密には思いと最後の焼き入れが違うのです…」

赤金さんは顔に影を落としながら語り始めた。

「先に打たれたのは禍暁でした。これを打った先祖は戦乱に巻き込まれ、妻を亡くしたと言います。その為、ヒトを呪い、世を恨みながら禍暁を打ち続け、最後の焼き入れには……三十三人分のヒトの血を使ったと言われております…」

最後の一言はかなり強烈だった…
皆、言葉を失っている…
「こうして打ち上がった禍暁は生まれながらの妖刀となり、その後…さらに六十六人を斬り捨て、合わせて九十九人分の血を吸い尽くしたのです…
その力は凄まじく、振れば血が霞の様に俟ったと言われています…
故に血霞九十九…
ですが、先祖は気がつきました。私のやっていることは間違っていたのだと…妻を奪った奴等と同じことをしていたのだと…
そして、禍暁の力を押さえる為に同じ鉄から新たな刀を打ちました。
五穀を断ち、神仏に祈りながら鉄を打ち続け、最後に富士の霊水で鍛えたのが…」
「宵闇…」

オレはポツリと呟いた…


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