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秘密の夏。それを恋と呼ぶなら。(イラストつき)
【OL/お姉さん 官能小説】

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伯父の家で-1

 僕がまだ小学生の頃、五年生の夏だ。学校は夏休みに入ったばかりだった。

 両親が離婚し、母に引き取られることになった僕は、母と共に、それまで住んでいた、生まれ育った家を出ることになった。

 離婚に至った経緯はよくわからない。両親の仲は悪くはなかった。母も一人息子の僕も、父から暴力を振るわれたこともなく、ただ、ほとんど家にいない人だったと記憶している。それが仕事が忙しかったせいなのか、どうなのか。

 母と僕が身を寄せたのは叔父の家、母の兄の家だ。天井の高い、広い大きな家だった。広い庭もあった。僕らが訪れたとき、その庭の真ん中、広い芝生を背に、大輪のひまわりが咲いていたのをよく覚えている。

 叔父夫婦には子どもが二人いた。僕の従兄妹になる。でも、それまで会った記憶がない。当時、大学生だったお兄さんは、海外に留学中とかで、家にいなかった。妹さんは高校生ぐらい。無口な、落ち着いた感じの、線の細い女の子だ。

 高校生であっても、僕から見たら十分に大人で、綺麗なお姉さんという印象だった。親戚だろうが従兄妹であろが、自分の身近にはそういう存在が今までいなかったから、どういう態度をしたら良いのかわからない。紹介されたとき、何を話したのか。緊張してどきどきしていたので、多分、挨拶だけだったように思う。

 無口な彼女と、もの静かな叔父夫婦と、穏やかで優しい母と、いきなりそれまでの生活を離れて慣れない環境に置かれ。緊張して硬くなっていた僕。幾つも部屋がある広い家は、誰もいないみたいに、しんとしていた。しんとして、夏なのに涼しかった。

 夏休みでも、親しかった友人たちと遠く離れた町に来てしまったので、遊ぶ相手がいない。家の外へ、どこかへ遊びに行くにしても、土地勘が無いから、どこへ行ったらよいのかわからない。それに、九月から新しい学校に転校するのが決まっていたので、何だか気持ちが落ち着かなかった。夏休みの課題やら宿題をやらなくてもよいのは嬉しかったが、それだけだ。

 遊び相手といえば…年齢が近いとはいえ、お姉さんに話しかけるのは気が引けた。彼女は、たまに庭で見かけるぐらいで、一日のほとんどを自分の部屋で過ごしていた。家の中で顔を見たことは、ほぼ無い。それが僕には不思議だった。なぜどこにも行かないのか?遊びに行かないのか?お姉さんの友人が訪ねてくることも無かった。なぜ?なぜだろう。

 僕のその疑問は、ある日、叔父から聞いた

「沙耶(さや)は、生まれつき、体が弱くてね」

 その言葉によって解消された。

 沙耶。それが彼女の名前だ。


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