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カルト教団
【ファンタジー 官能小説】

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カルト教-18

「どいて、妹のことが先よ」カザミは顔を向けさせる。「どうして。殺さなくてもよかったでしょう。そんなことをする人だとは思わなかった」
「教祖様、黙っていろと言われたのに、申し訳ございません」ドウツがさらに声をかけてくる。死にかけているのを見て時間を稼いでいるのだ。
≪そうか、今の話は全部お前のことなんだな≫ 悔しいが声が出ない。
「誓う、[書]は取らない、盗まない。図書館に返すだけ。鍵をちょうだい」うるさい魔女だ。
≪あれは私のものだ。取られるくらいなら焼き捨ててやる≫
「妹を返せ」ナイフを揺すった。カザミの服が血に染まっていく。
カザミには、答えてやれない。今は魔女に集中させてくれ。
≪おまえが堕ちた魔女でないとどうしてわかる。 そんな誓いなんか何の証明にもならない。図書館は襲撃されてもうないんだぞ、だから何とか持ち出せたのだ。騙そうとしても無駄だ≫
それとも、執着の罪にとらわれているのだろうか。その代償は大きい。最後の力を振り絞った。
「では、どうやって我が呪いを破った。おまえはその秘密を明かせるか。   ‥できないだろう。何ともわからない者には預けられない。あれは毒にもなるのだ。すべては秘密の中に沈める」
「秘密なんてないのよ」陰から声がする。同じ顔。同じ姿の魔女が入ってきた。 「こういうことよ。赤色のお嬢さん、この男には手を出さないで」
≪双子か。 そうか≫ 入れ代わっていたのだ。なるほど納得だ。 「おまえは私が恋しくなったのか。殺しに来たのか」かすれるほどの声が出せた。
「答えて、私に答えて」カザミが横で吠える
私は返事ができない力がのこっていない。≪カザミよ私が信じられないか≫
「全部その男の仕業なんだ」ドウツがさらに訴えた。
どっちを信じようかと決めかねているように見えたカザミが、「教祖様は導いてくれた。あなたは引きずり込んだ」ドウツを見る。「その言葉が信じられない」
「信じられなくても、真実とはそんなものだ」出口に少しずつにじり寄っていたドウツが、魔女の横をすり抜けて部屋から逃げ出した。
カザミは魔女を見て、「どうか殺さないで、魔女なら治して。真実が聞きたいの」頼み込む。
カザミは分かっていないから簡単に言う。命を縮めることは子どもにでもできる、命を長らえることは神にもできないことがある。
「12人も死んでる。良くても、寿命より長い懲役になる。助かっても誰かが殺しに来る」魔女が言う。
「我々ウイッチには警察も裁判所もありません。やったことに対して怒る人がいれば、鉄槌をくだしに来るのです」私の愛する魔女だ。
「やめて教祖様を殺さないで、せめて警察に任せて」カザミが動けない私をゆすり、声をあげる。
「ウィッチの犯罪は他では裁けません。殺人犯が全くの無罪ということもあるのです。呪文に絡め取られ殺人を強要される。そんな当たり前のことも警察では証拠にも証明にもならないと無視されます。裁判所も魔法は無力だと認定しています」
「それならせめて教祖様の言い分を聞いてあげて」
「では、これは最後の処置よ。良くなったわけじゃないの」
何のことか分からなかった。しかし魔女の呪文を聞いていると、胸から下が感覚をなくしていった。まるで石になったようだ。痛みも消え、その分血が頭をめぐるようになった。
「カザミ、私は妹のことを知らなかった。あれはドウツの作り話だ。 と思う。私はあんな記憶がないのだ」
「分かっています」抱きしめてくれる。痛みはないのでいいのだが、抱かれている感覚もない。
「もうお別れだ」私は目をつぶろうとした。
「そうはいかない。あたしを甘く見ないで。もうしばらくしたら図書館の者がここに事態をおさめに来る。あんたはどっちに[書]を渡すの。やつらか、本来の図書館を復興させようという、あたしか」また魔女だ。
「おまえが信じられるというなら、私を逃がせ。生きてここにいたら、図書館員に秘密は暴かれるぞ。死ねば誰にも鍵はあけられない」
「あら開け方はもう知っているのよ。昨日あなたから教えてもらったわ」愛する魔女が振り返る。
「私の中を見たな。そのために抱いたのか」
「たしかに、それもあることは認めるわ。でも、あなたも人のためにその術を使ったんでしょ。人の幸せを願っていた。だから私はあなたに体を預けてみたのよ。あなたは素敵だったわ」
「ミメ、こんなところで何言ってるの。やめて」 こっちの魔女は顔を真っ赤にしている。
「あんたはさっさと死なせてあげようか。力をゆるめるだけでいい」
「ヒメ、どこまでやるの。あなたはあなたを呪った教祖を殺すのは防衛というかもしれない。でも私は教祖がそんな人じゃないと知っているのよ」
「では正義って何」


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