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『愛しくて』
【エッセイ/詩 恋愛小説】

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『愛しくて』-1

会って当たり前だった。
廊下で毎日すれちがった。
話したのは…3回。
あの時はホント幸せだった。
両想いになりたいなんて、考えなかった。高望みだと思って。
ただ、顔を見れればいい。
開襟シャツから少し浮き出る筋肉がついた背中を見れればいい。
友達と話してる少しかすれた声を聞ければいい。

でも、もう会わなくなった。
笑うと靨(エクボ)が出来るその顔も
少し筋肉がついた背中も
部活でかすれたその声も
満たされていた筈が
あなたは私のコトを気に留めなくても
私の心だけは満たされなくて
こんなに苦しいなら
いっそあなたを知らない方が良かったと
後悔した。
流行りの失恋歌を聞いては独りで泣いた。

でも、いつかまた会えると心のどこかで思ってた。
期待してた。
待ってた。
いつか私のコト見てくれる日が来るって…
根拠もない 理由もないけど期待してた。
私を見てくれなくても
またどこかで
すれちがえるとか思ってた。
私の勝手な期待。

高望みはしないから
またどこかで会えると
信じてても悪くないと思ってた。


四年越しの永い永い片想い。
まさか…こんなに早く終わるなんて思ってなかったよ。
今思えば
あなたを好きでいる自分が好きで
もっともっとあなたを想っていたかった。
四年なんて短すぎた。

たくさん人を振ってきたけど
こんなに悲しいなんて

余りにも悲しくて
本当に胸が苦しくて
自然と涙が流れてた。

愛しい人ってあなたのコトなんだよ?
もっとあなたを好きでいたかった。
あなたがもし、
他の誰かを好きなら
死んでもいいから
その子になってみたい。

追い掛ける恋がいい とか
追い掛けられる恋がいい とか
そんなコトを言う人は私みたいな経験が
きっとまだやってきてないんだと思う。
私もかつては
追い掛けられる恋が苦手で 追い掛ける恋が自分らしいと思ってた。

でも 今は
今だけは
あなたを想うコトが自分らしいと思えるのに

あなたを想うコトさえ出来ないなんて…


たとえ貴方を想うコトが困難でも
きっと私は貴方を忘れられない。
忘れるコトを諦めたの。
四年の間に そんなコトは何度も試したから。



もっと貴方を好きでいたかった。
愛しい貴方を。


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