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月のダンス
【学園物 官能小説】

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月のダンス-1

「今日の練習キツかったよね〜!」
隣にいる明希が言った。私はテニス部の部室で着替えながら、明希に向かって頷く。キツイ練習が終わったばかりの部室は、部員達で溢れかえっている。

私の名前は新堂双葉。私立S女子高等学校に通う2年生。

私達が着替え終わる頃には、部員の姿はなくなっていた。
「双葉、帰ろ」
明希がそう言った時、私は宿題を教室に忘れてきたことを思い出した。
「ヤバ…、宿題忘れてきた。先帰っていいよ」
「わかった。お先ね」

明希と別れ、部室から出るとすっかり日も暮れて、月が姿を現していた。薄暗い校庭を走って教室へ向かった。

―ガラッ…
教室の扉を開けると、担任の片倉先生がいた。片倉先生は28歳男性。眼鏡をかけているせいもあり真面目なイメージの国語教師。国語は苦手だけど、片倉先生には恋愛感情を持っていた。以前、国語のテストが最悪でかなり落ち込んでいた時、先生は悪い点を取った私を責めず、何故そうなってしまったのかを一緒に考えてくれた。それが切っ掛けで私の目は片倉先生を追うようになっていた。

「どうしたんだ?部活は終わったんだろう?」
「はい。宿題忘れちゃって…」
「あぁ、俺が出した宿題か。気付いて良かったな」
先生はにっこり笑って言った。その笑顔を見ただけでドキドキして顔が赤くなっていく。それを気付かれないよう、自分の机に行って宿題を探す。
(早く…早く探さないと。先生に顔が赤いのバレちゃう!)
焦っていた私は、手を机に思いっきりぶつけてしまった。
「痛ーっ!!」
その瞬間、私の机は大きな音を立てて倒れた。焦っていた私は、手を机に思いっきりぶつけてしまった。

「新堂、大丈夫か?手を見せてみろ」
先生が私に近づいて来る。
(痛い!で、でも先生がこっちに来る!こんな赤い顔見られたくないよ!)
痛みのせいで涙が流れてきた。先生は驚いて私の手をとり、私に曲げられるかと聞いてきた。あれこれ先生の言う通り手を動かしているうちに、痛みも少しずつ引き、手は赤くなっているだけだった。
「はぁ〜…、びっくりした…。新堂が泣いているから、骨折れたかと思った」
落ち着くと、片倉先生に手を握られていることに気付く。また顔が赤くなっていく。

「新堂、熱あるのか?」
今度はバレたようだ。それにしても先生は鈍感。毎日の熱い視線攻撃にも気付かず、今だって手を握られたから赤い顔しているのに…私ひとりドキドキして馬鹿みたいだ。こうなったら、気付かせてやる。
「ちっ、違いますよ!せ、先生に手を握られたからです!好きな人に手を握られたら、誰だって赤くなるでしょう?」
「…それって」
「先生、鈍すぎだよ!」
言っちゃった!もう戻れないんだよね。先生がどんな反応しようとも…。

「…」
誰もいない教室で二人は沈黙したまま。沈黙を破ったのは片倉先生だった。
「気付いてたよ」
「え?」
意外な言葉が耳に入ってきた。
「新堂が俺のこと見てるの、気付いてた」
そう聞こえた瞬間、私は先生に優しく抱き締められていた。これは夢?でもこの温もりは夢なんかじゃない。
「お前の視線攻撃って凄いな。俺は教師、お前は生徒の関係なのに…俺も恋愛感情持ってしまったじゃないか」
その言葉を聞いて、私は今まで秘めていた物が一気に爆発した。
「先生…今の言葉本当?本当ならもっと強く抱き締めて!」

応えるように先生は私を強く抱き締めた。幸せな気分。先生はわたしの体を引き離し、そっと顔を近付けた。唇が触れる感触…。甘いキス。2回甘いキスをし、3回目は深いキスとなった。先生の舌が私の唇を割って侵入してくる。
「ん…ふぅ」
激しいキスは甘い声を生む。私の体はもう熱くなっている。
「は…、先生…好き」
「俺もだよ…どうしよう、止まらなくなりそうだ」
「止めないで、お願い」
「電気、消そう。窓の外から見えないように」
もう誰にも止められない。片倉先生が教室の電気を消した時、そう思った。

真っ暗な教室。月明かりが射し込んでくる。お互いの姿を見るには、その月明かりだけで充分だった。


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