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sacrifice
【その他 官能小説】

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sacrifice-1

そして、私はサクリファイスになった。


この大空に、果て無き自由と戦乱の渦中で。
――――生き抜くために。



覚悟はしていた。
私たちは、神なる天地の下に生まれ生かされている。
“絶対”的な不変はあり得ないと
神父である父の布教活動に追従しながら……。


やがて私たちは、情勢不安定な国に流れ着いた。
……そして、彼に出会った。


彼は傭兵だ。
大金で雇われ、世界各地のあらゆる危険に挑みながら
与えられた指令を迅速に遂行する、策略のプロだ。
彼は危険を恐れない。
彼は何事にも物怖じしない。
一目だけで、油断ならぬ男性だった。


父は成人した娘の私を、密かに案じていた。
妻とは死に別れ、
男手一つで世界各辺地を渡り歩きながら育ててきた。
しかし、年々と開花していく娘の美しさは予想外だった。
いつかは災いの種になるだろう。
「娘のために……」
胸に秘めた計略は、
秘密裏に、
実行された。


やがて私たちの元に、戦渦が迫ってきた。
父は住民たちの安全と保証を確保するために
取引の報酬として、
娘である私を彼に差し出した。
それが、父なりに精一杯の愛情で、
必要な大義名分だった。


「お前にはお前だけの人生がある。
私の人生にまで追従する必要はない」


ショックだった。
そして後から後からと、計り知れない絶望が襲ってきた。
初めての出会いで、
彼が私に並ならぬ興味を抱いていたのを
父は見抜いて、それを利用したのだと思うと……
胸に鋭い痛みが走った。
父はそこまで彼を信用したのだ。


瞳に欲望を称えながらも、常に冷静さを失わない。
そんな彼には、いやらしさがない。
憎めたらいい。
娘の幸せを願う父が理解できるだけに、
被った心のダメージを糧にして
彼に八つ当たりする。
わめく。
徹底的に傷つけてやろう。
意地になればなるほど、
彼は面白がるかのように鼻であしらう。
そして、甘く容赦ないキスで口を塞ぐ。
暴れる両手を後ろに縛り上げては、下半身を指で攻めてくる。
布地越しに感じる激しい動きに、
思わず快感で我を忘れてしまう。
……そして無力になってゆく自分がいる。


忌々しい反応だ。


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