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『そしてその歌は世界を救う』
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『そしてその歌は世界を救う』-5

樹は中学を卒業してからすぐにバイトを始めた。
高校には行かなかったのだ。
母も樹が行きたくないと言った時は行かないと後が苦しいと最初は説得したが後は別に何も言わなかった。
卒業してすぐ近くのよく通っていたコンビニでバイトを始めたが約4ヶ月で辞めた。最初から樹はそのつもりだった。
バイト代をはたいて買ったのは以前から目を付けていたパソコン。
母が持っている古いパソコンは嫌で何より自分のファイルが見られたりするのが嫌だったため自分のパソコンがずっと欲しかったのだ。
その前から欲しかったエアコンを我慢して買ったのだが両方とも今手元にある樹は今は特に欲しい物などなかった。
インターネットは元々できる環境だったので無線LANも一緒に購入し自室でネットを行える夢の環境を樹は手に入れていた。
母のパソコンではあまりネットをしていなかったので色々わからない事が多かったがそこはまだ10代の樹だ。すぐに使いこなしていき毎日ネットサーフィンを楽しんでいた。
だが1ヶ月もすればそれも飽きてきていた。只なんとなくネットに繋いでボーっとお気に入りに入れられたサイトを見たり音楽を聴いたりして樹は毎日を生活していた。
そんなある日樹のパソコンに一通のメッセージが届いた。

『来週日本に帰るよ。お前の心は当然冷めてねーだろうな?土産話が沢山あるよ。』

樹のテンションは一気にあがった。
椅子から立ち上がり素早くドアを開け階段を降りると、起きてきた母に目もくれず冷蔵庫を開けペットボトルを取り出し一気にお茶を飲み干した。
うるさく言う母を後ろに降りたスピードと同じくらいの速さで階段を駆け上がるとベッドの上に飛び乗った。

『夜草…おせーんだよ。』

そんな台詞を吐いていた樹だが顔付きは果てしなくニヤニヤを隠せていなかった。


『お前、洋楽聴くんやてな』
『うん…てか誰やねんお前』

夜草と樹の最初の会話はこんな所から始まった。

中学時代隣のクラスに居た夜草はドコからか樹が洋楽を聴いている事を知り話しかけたのが始まりだった。

『バンドとかやってへんのか?』

『…おれ楽器持ってないもん。』

『あはは!!なんやねん!!そしたら歌(うと)たらええやんけ。』

樹は考えてもみなかった。
ギターは前から母にねだってはいたが正直そこまで欲しくなかったのが本音でそんなにきつくはねだったりしてはいなかった。

『お前…名前なんて言うん』
『夜草や』
『夜草、お前楽器できんの?』
『俺は小1からクラシックギター習わされてたからな。今なエレキに持ち変えてRockやってんねや。』

『そーか…ええなぁ…。』

『安井ていうたか。』
『樹でえーで。』
『いつ…きか。樹、お前歌ってみーひんか?』
『え?!でも俺あんまりカラオケとかいかんし、部屋で音楽聴きながら歌ってるくらいで…』
『今な、ピンと来てん。直感や。なんかお前とやったらいけるかもしれん思ってん』

『…行けるて何処にや?』


『…世界や』


二人は出逢った。


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