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羽根屋
【ファンタジー 恋愛小説】

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羽根屋 〜序章〜-1

〜序章〜

港町の店 きっかけは一体の人形



ここは日本のどこか・・・・海に浮かぶ離島。
その島の港辺りの店
昔からあったのか 最近できたのか わからない
そんな不思議な店に私が気付いたのはつい昨日のこと。

港町の住宅街から離れて、神社のような階段をのぼって
トトロに出てくるメイの家の前の木のトンネルみたいな道をぬけてまるでメイロのようないりくんだ道を行くと
その店は姿をあらわした。

木でできた二階だて店は、外にそなえられている階段を下ると地下にもいけそうだ。
正面の入り口のドアノブには『OPEN』と書かれた木の板がかけられ、そのドアの左右には中が見える窓があった。

この辺りは恐ろしく静かだった
顔をなでるそよ風が心地良い。
その場に立っていると聞こえるのは
鳥のさえずりと木々のざわめき。
この町にこんな場所があったんだ、とただただ感心する

私は窓から中の様子をのぞいてみた
中は暗くてよく見えない部分が多い。
そんな私が見つけたのは・・・ガラスでできた一体の人形。

暗い部屋の中でかがやくそのガラスの人形は
すぐ私の目を釘付けにした。
ここからは人形の形がよく見えない。
もっと近くで見たい。
そう思った私は店の中に入っていった

ドアについてるベルの音がなりひびく。
店の中はほこりっぽくてクモの巣だらけ
歩くとほこりが舞う。
でも私はそんな事おかまいなしで
早足で店の中へ入っていく。
そして、テーブルに静かに置いてある人形のところまでついにたどりついた。

人形は少しほこりをかぶってはいるもののかがやきを失ってはいなかった
ガラス人形は天使の形をしていた。
ろうそくを持って微笑んでいる。
この人形超欲しい。このまま持っていってしまおうか。

テーブルに財布(入ってる金639円)を置くと
辺りを一、二回見回して、ドアに向かって走り出した。
その次の瞬間、気の抜けた低い男性の声が私の背中にあたった。

「おい、お前。店のもの勝手に持ち出してなにしてんの?」

・・・・それが私、坂本真由と、この店の店主、高宮草太の初めての出会いだったのでした。

私はその後におこることも考えず
持ち出そうとした天使の人形を抱きかかえ
ごくり、と、つばを飲んでました。



第一章に続く


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