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『鬼と、罪深き花畜』
【SM 官能小説】

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『鬼と、罪深き花畜』-29

(6)
 先生の家を訪問すると身体がクタクタになるまで嬲られ、心がグシャグシャにされるのは分かっていたことですが、今日はママも一緒だったんです。まさかママと一緒にあんな非道い嬲られ方をするとは思ってもいませんでした。
ママは身体の痙攣が止まらない絶息状態のまま、ようやく縄を解かれたんです。
縄を解かれてもビクンビクンと断続的に愉悦のぶりかえしが身体の奥深くから沸き上がってくるらしく、あああっと悩ましい喘ぎ声を洩らしているんです。

 タクシーを呼んでもらって、マンションに戻る途中でもそうだったんです。僕はずっと痙攣しているママの身体を抱きしめ、ごめんなさい、ごめんなさいと泣きながら謝っていました。
 ぐったりとして倒れ込むようにリビングのソファに横たわったママは血の気のない蒼白い貌をしていました。
「ミツルッ、まだママを抱きしめていて……」
 強く抱きしめていないと、ママがどこかに飛んで行ってしまうような、そんな風情だったんです。
「ママ……わたしでよければ、抜いてあげるけど?」
 僕はまだブルブルと震えているママの肩を抱き寄せながら問いかけました。
 先生は鬼畜です。ママのアナルにはバイブがオンになったままで突き刺さっていたんです。僕のアナルにも新しい大きなビーズ玉が5個埋め込まれていました。先生はそんな状態で二人を嗤いながらタクシーに乗り込ませたんです。
「あんな姿を見て、ママを軽蔑してるんでしょ?」
 ママはそんなことを呟くんです。でも、抜いてとは言わなかったんです。
「ま、まさか。ママのことを軽蔑だなんて……死ぬほど好きなのっ。大好きっ」
 僕はママに言ったことのない言葉、ずっと言いたかった言葉を口走って、そして衝動的にママの素敵な口唇にキスしてしまったんです。
 頭も身体も沸騰して蕩けてしまうようなキスでした。
「あ、あああっ……ミツルは女の子なの?」
 ママはひどく戸惑いながら、それでも妖しくて艶めかしい大きな瞳で僕をじっと見上げているんです。いつものママじゃない女の表情に僕も戸惑っていました。
「えっ。わたしは女の子だけど……大好きなママを見てると変な気分になっちゃう」
「男の子に戻ってくれる?」
 ママがこんなことを言うなんて、どうかしていたんです。
「……あんな恐ろしい黒岩先生なんかに二度と近付かないでっ……昔の男の子に戻って、ママを抱いてっ」
 ママを抱いてだなんて……そんな言葉に狂ってしまった僕はその言葉を洩らした口をもう一度塞いで、そのままソファに倒れ込んでいました。
「ママを抱いていいのなら、僕、すぐに男の子になっちゃうよ」

 ママは十年以上も女の性を捨てて、会社経営者としていつも凛として、一人で僕を育てあげる母親として慎ましく生きてきたんです。でも、鬼のような黒岩先生のせいで女の業火に身を焼かれて、淫蕩な血を滾らせる女性に戻ってしまったみたいです。
「ママを女として扱える?」
 ママは恐ろしいことを言うんです。ママの全身がガタガタと震えていたのはアナルでまだ嫌らしい唸りを上げているバイブのせいだったのか、母と子のタブーを犯そうとしているママの罪悪感だったのか分かりません。
「……ど、どういうこと?」
「鬼になれる?」
「えっ……僕に、鬼になれって言うの?」
 僕はママの凄艶な横顔に見入ってしまいました。こんなに透明感のある凛々しくて美しい貌をしていて、内に秘めた欲情は恐ろしいほどドロドロに煮え滾っている噴火寸前のマグマのように思えたんです。
 ほんとに罪な人です。僕はママのためなら何にでもなれる気がしました。
「そう……ミツルが鬼になって、ママを女にしてっ……あ、あああっ、ママはまたダメになるうっ」
 僕の腕の中でママはアナルの奥深くからの愉悦を咽喉から噴き上げていました。


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