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恋愛宣言
【コメディ 恋愛小説】

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恋愛宣言-6

「あ、また?ごめんねぇ〜!」
「どうせ、お弁当一緒食べるんでしょ?定番だもんねぇ」
頬杖を付いて、シラけた目付きであたしを見ている。何、その冷め切ったオメメは。
「いいよ、いいよ。アタシは独りぼっちでちょびちょび食べてるからっ!」
ふんっとそっぽを向く亜美を、あたしは優しく…優しく?…うん、優しく女神のように宥める。
「違う、違うよ!亜美は独りぼっちじゃない。あたしがいるよ!広夢とあたしと、一緒にお弁当食べよ?ね?」
「…ありがと、春嬉!アタシ、信じてた。春嬉はアタシを裏切らないって、そう信じてたよ!!」

―キーンコーンカーンコーン。

ノリで続けた小芝居もチャイムが鳴った時点で終了。手を取り合って、ウルウルさせていたあたしたちはパッと離れる。何事もなかったように亜美は「そんじゃねぇ」と自分の席に戻っていった。


『ドはドーナツのド!レはレアチーズケーキのレ!ミはミスドのミ!ファはファンタのファ!』
お菓子大好きっ子のあたしたちにかかれば、ドレミの唄もこの通りよ。ミがおかしい?気になさんな。
弁当袋をぶら下げて、あたしたちは庭園のベンチへ向かう。と、ベンチに二つの影が。ここからじゃ人の断定は出来かねるが、どうやら仲良くお話しているようだ。
ちっ、先客かよ。
その時!
「キャーッッ!」
女の子の悲鳴!?
ベンチの影が揺れた!こりゃあ、乙女のピンチ!?小羊ちゃんが狼に!?そんなん同じ女として、許せるかぁっ!!
「亜美!」
「うん、行こ!」
記録計ってたら、絶対自己ベストっていうくらい、あたしたちは庭園を猛スピード駆け抜けていった。
「大丈夫!?」
「春嬉すわぁーん!」
ぇぇええっっ!?
制服のはだけた広夢があたしの足に縋り付いてきた。ベンチには、キッとあたしを睨んでいる女の子。この子、確か一年生の…レイナちゃん。清掃委員会で一緒の…。
「この子が…この子が…いきなり…」
ギュウッとあたしの足にしがみ付く広夢。
じゃあ、さっきの悲鳴はコイツ…。
「女子か!」
お約束ですぱんと広夢の頭を叩く。ていうか、どんだけ乙女な悲鳴だよ…。
「レイナちゃん、何でメス狼になったりしたの?」
あたしは片手に弁当、もう一方では広夢をよしよししながらレイナちゃんに問う。
「私の方が好きだもん、梶先輩のこと…」
レイナちゃんがぽろぽろ涙を流した。
「私はずっとずっと好きだったのに!急にこんなの…。私の方が好きだもん」
レイナちゃん…。
広夢をこんなに思ってくれる人がいるのに。本当にあたしが付き合ってていいのかな…あんな、簡単に…レイナちゃんの方が合ってるんじゃ…。でも、広夢が他の子に、バカなとこ見せたり、オレンジ色の横顔見られたり、笑い掛けたりしているのは…やだ。
「春嬉さん、今すぐ別れてよ!今ここですぐ…!!」
「やだよ」
「何で!?本当に好きなの?本気なの!?」
あたしは…。あたしは…。
「…あたしは、広夢と恋愛してくって決めたの!!」
「いつ!?」
「今!」
「はぁ!?」
「確かにね、広夢をずっと好きだったレイナちゃんの方が、広夢のこといっぱい知ってるかもしんないよ。あたしは出遅れてるよ。でもね、これからいっぱい知ってくんだもん、知っていきたいんだもん!野性の動物に好かれるところも、すごく綺麗な横顔も全部ひっくるめて、それで、恋愛してくって決めたんだから!たっくさん広夢の表情、気持ちを、見ていく心で感じていくって本気で決めたんだもん!!だから…だから…あたしは絶対、この変人を離さないっ!!」
あたしの気持ちだよ。素直な気持ちを、綺麗事とか無しのそのままの気持ちだよ…。レイナちゃんが本格的に泣きだしたけど、すごく傷付けるのは分かってたけど…でも、これがあたしの気持ちなんだもん…。


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