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恋愛宣言
【コメディ 恋愛小説】

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恋愛宣言-4

カラスなんて気にしない…。野良猫なんて気にしない…。野良犬なんて気にしない…。
「あの、奴ら何とかしてくれません?」
やっぱ無理です。
広夢先輩は悲しそうに「はい」と頷くと、上空のカラスの群れに、地上を付いてくる犬猫の群れに「わッッ!」っと言って追い返した。
…あ〜もう、何この変な人ぉ〜!何で野生動物が懐くの?さっき少しでもトキメイたあたしって何!?
「春嬉さんっ!自分、任務完了したっす!!」
にっこにこしながら、あたしに敬礼する。
「先輩…。あたしが年下なんだから、敬語辞めてください…」
何か、調子狂う。顔も童顔だし、爽やかだし、先輩と思えない。
んが、しかし!あたしの心中とは裏腹に、先輩は「ダメぇっす!!」と叫んだ。
「な、何で!?」
「春嬉さんは…春嬉さんは…」
あたしは?あたしは?
「春嬉さんは…ポチの命の恩人だからです…」
ぇえ!?当のあたしがビックリですけど…。
だけど、先輩の真剣な顔になぜか胸がきゅんとなる。あたしってば、ムードに弱いのかも…キャッ♪よってあたしも、しんみりな顔に。
「ポチって、先輩のワンコ?」
「いや、ニャンコです」
猫かよ!
「ワンコはタマです」
紛らわしい!
心の中でツッコんではいるけれど、顔は真剣そのもの。先輩は遠い目をして、話し始めた。
「あれは…そう、あれは…夏のこと。自分は畑仕事から帰る途中でした。空が突然紅く光ったと思ったら、向こうの山に」
「…オイ」
長くなりそうだったので、あたしは見え過ぎのオチの前に制止した。
「すいません…。えっと、半年前です!半年前の真冬…。春嬉さん、ニャンコ助けましたよね」
猫?あぁ、思い出した。
確かに半年前、あたしは歩道の端で雪に埋もれている真っ白いフワフワな猫を見つけた。雪と同化していて最初は分からなかったが、白に栄える二つのブルーアイがあたしをたまたま捕らえたから、運良く見付けることが出来た。
「あれ、ポチです」
エェ!?広夢先輩の猫!?てか、あのVIPそうなニャンコちゃんが『ポチ』!?
「そうだったんですかぁ…」
ネーミングの悪さに落胆したあたしの声を聞いて、先輩は
「そんな驚かないでください。世間って狭いもんっすよ!」
と、ポジティブに勘違いしていた。
「自分がポチ探しから帰ってくると、姉貴があの写メを見せてくれて…」
「写メ?…写メ!」
そう、そうだった。猫の首輪に住所を彫ったプレートがあったから、そこにニャンコをつれて行くと出てきた綺麗なお姉様が…。命の恩人とか泣きだして、せめて雄姿を写させて下さいとか言い出して、あたふたしながら猫と共にニコッつって…。変な人だと思ってたけど、広夢先輩のお姉さんだったのか。妙に納得。
「それで、顔を見て…」

夕焼けのオレンジには不思議な力がある。

「一目惚れっす!」

オレンジの横顔がとても綺麗で、あたしは胸が締め付けられた。何故か愛しくて、すごく広夢先輩に触れたかった…。
「それで、ホラ♪」
恋する乙女のあたくし、さようなら。ただいま、リアルワールド。


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