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悪夢〜寄生蟲〜
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悪夢〜寄生蟲〜-1

コンビニの電灯に大きな蛾が群れていた。
私は嫌悪感を感じて背を向けて歩いた。
蟲の中には植物や小動物の身体を仮の住居として成長するものもあると言う。
想像してみた。
自分の中に存在するその違和感。
鳥肌がたち、私は走って家路についた。
夜が一時期怖かったのはあの笑い声はまだ耳に残っているからだ。
夢の中での闘い。
結局黒ずくめの正体も分からずじまいだった。
夢の中の悪魔がこれからの何かを予期して断末魔の叫びとともに残した不気味な笑み。
何を意味するのか。

ともあれ、恐怖心を段々私は拭い去ることに成功し始めていた。
今夜も扇風機の心地よい風に髪を揺らしながら眠りについた。
夢に墜ちて逝く。
認識者としての意識がある限り夢の世界では恐れるものはなかった。
そう夢の中でなら。

今宵の夢も快適に過ごしたいと思いながら。
その願いが恐怖と化すことをその時私は気付けなかった。


頭痛を感じた。
隔たれた世界に迷い込んだようだった。
気が付くと区切られた真っ暗な空間に私はいた。
これが夢なのか現実なのか定かではなかった。
ただ現実にしては整いすぎている空間だった。
闇の中手探りで出口を探す。
この闇では方向感覚、平行感覚全てが停止された状態になる。
そして心なしかその空間が縮むように感じていた。
額からは嫌な汗が滴り思考を邪魔する。
手を伸ばしてもそこに壁はなく私はバランスを失い転んだ。
認識者としての能力を発動させようと光をイメージした。強く。強く。
しかし
いつものように眩しいばかりの光は現れなかった。

ゴゴーゴーゴゴ。

誰かいる!

不意に気配を感じた。
闇と同化しているような気配を。
そして私に向けられる悪意を。
出口をイメージしても私の前に出口は現れなかった。
気配は複数ある!

多方向から何かがぶつかりあう音がした。

夢なら醒めろ!

ようやく床に出口がおぼろ気に現れはじめた。
私は走った。
ただひたすら、走った。
あと1m。
そこまで来ているのに。
私は
何物かに。



足を掴まれてしまった!

両手も押さえ付けられ何物かが身体に覆い被さってきた。
気持ちの悪い粘液のようなモノを垂らしながら。
私の悲鳴は声にならず、そのままそれは私の喉元を強く噛み付いてきた。

激痛が走る。
体内に違和感を感じた。
何物かが私の身体を侵食し始めた。

「コレハ寄生蟲ダ。オマエの夢ヲ喰イアラスダロウ。」
そのまま私は夢の中で気を失ってしまった。

認識者として目醒めてから悪夢にうなされることもなくなった。
そう今日までは………


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